34話 聞いてみたい気はしますが、あなたの意見が大事です。
ちょっとシリアス。
1500Pvありがとうございます。
見てもらえるだけで執筆の原動力になります。
トイレを解決したあとにいろいろ怒られたが、長時間シャワーを浴びていた二人にも文句は言いたい。
まあ、見た目のせいで女子組にシーナを分類していた俺も問題あり……なのか?裸を見て嫌な気持ちにさせてしまったのはあるかもしれないが、女子組に分類してしまったのは俺のせいではないだろう。
言い訳がましい?
こうでも言い訳しないと俺の立ち位置が非常に危ういものになる。主に生活維持の拠点内労働について。当番制の持ち回りがいいんだ。
そんなことを考えていたが、裸を俺に見られたことは本人にとって相当ショックらしい。サマンサやエリナが、「私には慰める手段を見つけられない」と悲しげな表情をするくらいなのだから。
「シーナ、もう一度謝っておく。申し訳ない。どうすれば機嫌を直してもらえる?」
「あなたの裸を見れば、という冗談はさておき。私はいま、葛藤の中にいる。私の生い立ちを話すべきか、それとも黙っていたほうがいいのか」
冗談を言おうとするくらいの気力は戻ったのか。良い傾向だ。
俺が先ほど裸を見たとき、なぜ女ではなく男でもなく、【どちらでもない】どちらでもないという判断になったのか。
男性器があるべきであった場所に、外科的要因により切除された跡があったからだ。
その跡は小さく、幼いうちに切除されたのであろう。現在の見た目的にも、性犯罪を犯したから、ということではなさそうだが。
「シーナ、お前の意見が大事だ。俺たちはどういう人生を送ってきたのか知らない。それが大変なものだったのは予想がつくが、予想程度で慰めを送ったらお前を傷つけてしまうかもしれない。」
俺は言葉を選びながら続ける。
「けれども、お前がそれを話すことをどう考えているか。きっと壮絶なものなんだろう。話すことも恐れるくらいなのかもしれない。だから、どうするかは、全部お前の判断に任せることしかできない」
「マーク、あなたは聞きたい?要点だけを抑えると、ほんの数十の音で済んでしまう、私の過去。話せるとしたらその範囲だけになる。リーダー」
だったら。
「お前が自分自身に気を使って、周りに話してもお前自身が嫌な気持ちにならない言葉を選んでくれたんだ。ならば、それを聞く必要がある。俺はそう思う」
「わかった。じゃあ、大事なところだけ」
私はかつて孤児で、言葉も話せない頃に捨てられていた。
密偵組合に拾われ、言葉を覚えきる前に去勢された。そのほうが柔軟に戦える密偵になれるから。
身体はもともと男だった。だが精神性は女だった。
自分でもどうすればいいのかわからない葛藤がある。
そういうことだった。
「私は、自分がどういうものなのか、まったくわからないんだッ……!」
堰を切ったような、呻くような声で、シーナはそう告げた。