31話 サマンサからの提案ですが、少し悩みます
書いてる分には楽しいのですが、皆さんは楽しんでくれているでしょうか。
「拠点になる建物でも買わない?」
いつもの宿に帰ってきて、部屋を頼もうと思ったら部屋がなく、一階の料理店のテーブルで酒飲みをしている時のサマンサの提案だった。
「こういうきっかけの時にはほしくなる、のは分かる。けど、こんな勢いで決めていいのか?」
「私は賛成だな。相場とか知らないけど」
「料理どころが遠くなるのと、依頼を探しにここまで移動する時間を考えると、あんまり遠くは無理」
賛成2、消極的反対2ということで、サマンサによるプレゼンが始まった。
宿代が要らなくなるとか物資保管ができるだとか、いろいろと利点を説明してくれたが、結局のところ俺が問題にしてるのは、25億から当面の貯蓄を引いた20億でたりるのか?ということと、俺と一つ屋根の下で大丈夫なのか、ということ。
まず一つ目の金額。
一日の生活費が500万の世界なので、30日、もとの世界で一か月過ごすとすると1億5千万。これを30万円と仮定すると、数字の差は500倍。日本で2000万の家を買うとすると、100億は必要なのではないか。
そう思って相場を聞いたが、中古を購入する予定なので相場は50億ほど。2割を頭金で払い、払える時に分割で払っていく、という形になるそうだ。勲章があるので分割支払いを組めると思う、だそうだ。
借金かとも思ったが元の世界でも住宅ローンはあったし、一括で払えるファンタジーも変なのか……
サマンサがこういうなら、お金じゃなくて建物貰っておけばよかったか。
続いて、俺と同じ屋根の下で暮らすことについて。
何か問題あるの?の一言で消えた。俺にとって問題ありそうなんだが、そういうものか。
衣類の洗濯は責任問題になりそうだ。
俺にとって反対する理由はもうないので、次にエリナの意見。
「宿まであんまり遠いと移動が面倒にならないか?」
「ここから近場にいい物件があるのよ。通りを2つほど進んだ所にね?」
「そのくらいなら、問題ないか。私もそれでいいよ」
割とあっさり決まった。その場の勢いで決めるのはどうかと思う、みたいなことは言ったが、勢いがないと解決しないことがあるとも思った。
とは言ったモノの、物件ってどこで買えばいいんだろう?
……商人組合の方で聞けばいいか。
夜明けも近い時間になってきたし、ちょうどいい時間かも知れない。
酔い覚ましも兼ねて出発しよう。席から立ちあがる。
「よーし、じゃあ行こうかー」
立ち上がろうとして、サマンサがバランスを崩し俺の腕を捕まえる。
「おー?ふふ、ごめんね?」
「いや、いい。大丈夫だ」
酔ってるのか、頬が赤くなっていて可愛らしい。というか胸を……もしかして押し当てられてる?
「ふうん……」
シーナがとてとてと寄ってきて、俺の後ろから抱き着く。あの、動けないんですが。
「なんだよ、仲間外れは嫌だぞ?」
可愛らしいことを言ってエリナが左腕に抱き着く。あの、服がミチミチって言ってるんですが。少し手加減して。
こんな感じで、可愛らしい酔っぱらい3人に絡まれてしまい動けなくなってしまった。
モテ期ってやつなのかな?少しくらい良い思いをしても罰は当たらないと信じたい。