25話 悩んでも仕方がないので、冒険者稼業の再開です。
悩みに悩んでいます。書きたいことはいくつかありますが、どうにもまとまらない感じに。
懸念はあるものの、現状どうにかしてどうにかなるものではない。
つまりは何をしてもいいということなので、糊口を凌ぐために冒険者としての仕事を再開する。再びダンジョンに行くことも考えたが、機械の敵からのドロップは現状売れない。
即金だったりする依頼はないものか。
その結果、俺達が現状受けられそうだと判断したのが2つの依頼。
1つ目が商人の護衛。この124都市から2322都市まで。途中の都市3箇所にも訪れるため、片道のみ15日の食料負担あり。2パーティでの合同の護衛であるため、護衛中の連絡に齟齬のないように。
2つ目が泥棒退治。不定期に大きな被害を出している盗人、もしくは集団がいるのだが、衛兵でも足取りを捉えられていない。生け捕りにすること。
この2つを見たとき、ピンと来た。が、同時にそんなまさか、と思った。
本当にそういうことがあるのか?
泥棒騒ぎは有名だそうだが、それが依頼となったのは初めて。掲示が横に並んだのをみれたのは偶然なのかどうなのか。
4億超えの幸運のおかげか?こんどカジノに行こう。
護衛、もしくは商人が窃盗をしていると考えた俺は、両方の依頼を受ける、とメンバーに話した。疑っている事は声に出さず、メモに書いて買い物リストのフリをして。
護衛のパーティが決まったという事で、お互いの顔合わせをすることに。
片方のパーティはいつも固定らしい。メンバーは戦士系、呪術魔法使い、斥候の3人らしい。パーティランクはつい先週、▽(トライ)になったばかりらしく、苦労を長々と語ってくれた。
いや、竜と会ったはさすがに嘘だろ。3人のレベルでその大立ち回りができるとは思わない。
と思ったが、竜耐性というピンポイントなスキルが有るため、全部が全部嘘ではない……のか?
せいぜいコモドトカゲくらいだと思っておこう。
「シーナ、どう思う?」
「個人的には黒だと思う。確証はない。確証と言えるほどのものではないが……ランクの割に装備が良かった」
「ふむ」
「特に斥候。[音消しの指輪]と[筋力騙しの腕輪]。気づかれず重いものを運ぶための装備、と取られてもおかしくはない」
「グレーってところか。準備に見えるものはあるものの、証拠には足りない……」
「だから、証拠を捕まえてしまいましょう」
久々の徹夜だ。もしかしたらダンジョンの中で徹夜していたかもしれないが、徹夜と認識しているのは、こっちの世界では初めてかもしれない。だからまあどうということはないのだが。
「シーナ、ここでいいのか?」
今現在は屋根の上だ。冒険者の宿、宿泊している建物の屋根の上。下からは見えず、他の人が来たらみえるようになる位置。
窃盗を行っているのを目撃する必要があるため、迷彩系のスキルを看破する必要があるそうだが……
「ああ、それなら私が持ってるぜ」
エリナが提示したスキルは、[猫の目/Lv182]。155レベル以下の迷彩、61レベル以下の透明化を見透かせるとか。
サマンサに3人分の補助をかけ続けてもらい、その時を待つ。