22話 途中の階層まで、敵の傾向が大きく変わっています。
次回の投稿は明日夜予定です。
ドロップ品についての打ち合わせ。水晶の方については、しばらくの間俺が管理することに。それと、軍の方に対しての報告。傾向が変わる、なんて度合いではないから、という話だ。
機械の敵が出てきたときは俺の影響かとも思ったが、そもそも俺は蒸気機関の仕組みなんてまったくわからないので俺のせいではないと判断した。ガソリンエンジンだってわからん。
まあ、神様になにか言われたらその時に考えよう。
口に出さず階段、縄梯子を上って行って、49階に。
ジャングルの中、巨大だったり数が多かったりした虫や植物がいたはずだが、植物系の魔物と機械でできた大きな蜘蛛が争っている。紫色の葉をつけた木が枝を大きく鳴らし、まるで鞭で殴るかのように蜘蛛と戦っている。その蜘蛛もまた大きさ3メートルくらいあるんじゃないだろうか。テレビで見た鹿のどつきあいのような印象を覚えた。
どちらが勝っても何も起こらない、という違いはあるが。
漁夫の利を試みたほうがいいか、それともさっさと逃げたほうがいいか。
蜘蛛の方はゼンマイ式であるみたいで、後ろの2本脚をうまく使い、自身の尻にあるゼンマイを巻いている。戦いながらそれをこなすのだからうまいものだ。……だが、戦闘中のねじ巻きは隙になったみたいだ。ゼンマイねじに対して木が枝を振るい、へしおってしまった。
そうそうしないうちに蜘蛛はゼンマイ切れ、木は満足したかのようにどこかへ這っていった。
蜘蛛のドロップ品だけ回収しよう。合図するとシーナがあっという間に取ってきた。ゼンマイエンジン……馬力は看破できなかったが。
「こういったものは前から?」
「いいえ、初めて見るわ。たぶんどこのお店でも見たことがない」
前からドロップしたのか、という意味で聞いたが……この世界にないと考えるべきか、この都市だけだと考えるか。
少し調べる必要がありそうだ。
45階層までの敵は機械化していたりしていて、上の方に行けば行くほど錆びて壊れていたり、機械化していない比率が上がって言っていた。少しだけ戦ってみたが、フロア相当の強さだったと思う。
スキルがもとになった生き物と大きく変わっていたり、ドロップ品も変わっていた。
それと、機械化した敵はほとんどの確率でドロップを落とし、また、経験値も多くなっていた。
レベルが428まで上がっていたこと、ボスモンスターを倒す前には340前後で会ったことから、経験値のたまりがだいぶ早くなっているのだろう。
下りる時の半分以下の時間で入り口にまで到達したので、兵士にすべてを話してしまおう。
そう考えていたが、ほかの冒険者たち、45~49で稼ぎをしていた彼らが、既に報告していたらしい。
ボスフロアからの最初の帰還者なので報告、下の階層からはまだ戻ってきたものが少ないので情報精査中だとか。
どうなることやら。