17話 結構いい感じで進んでいるので、もう少し深追いします。
難しいかもと言っておきながら投稿します。
切り株の縄梯子、というかほぼ蔦のようなそれを降りて進んでいく。植物系の魔物や虫系が結構多い。
ほかの冒険者たちは近場にはいないようだが、それでも戦闘音などは聞こえてくる。
炎魔法は遠慮してほしいものだ。
「植物系って苦手なんだよなぁ、痛みを感じないらしいから怯まないし、眼がないから牽制も効果が薄いし」
そういうものなのか。植物系に関しては、打撃よりも剣などの切断系、あるいはスキルで拳に斬撃属性を持たせたほうが効果が大きいらしい。
魔法に関しては知らんと言われた。いいのか聖職者。
でもまあ、根腐れを起こすために水をぶちまけたり土を硬くしたり、焼いたり風で切り刻んだり……あれ、なかなか弱くないか?
とはいえ水も土も少し間違えたら強化されそうだが。
というか、蒸し暑い。ええい、日本みたいな暑さは遠慮したい。水魔法でも使って水浴びでも……いや、後がきつくなるか。
しばらく風呂もシャワーもしていないし、すこしはすっきりしておきたいのだが。
とはいえダンジョンではどうしようもない。我慢するしかなさそうだ。
虫系の魔物にはいくらか遭遇したが、植物系にはあまり遭遇しない。というのも、植物系の魔物はほとんどが自力移動しないからだ。一部のは根っこを足替わりに歩き回ったり蔦を伸ばして捕まえようとしてくるが、不意打ちを許さないほどうちの斥候が優秀だった。いつのまにか経験値が入ってきたりするので、結構倒しているみたいだ。
虫系に関しては、サマンサが風魔法で粉砕してしまう。もみくちゃにされて木にぶつかり潰れる大きな蜂をみて、動物系だったらえぐいことになってたんだろうな、と考えてしまう。
ちなみに蜂は2mくらいの大きさだった。
そんなこんなで、俺とエリナは他二人に比べ暇をしていたが、何もしなかった訳じゃない。大きめの狼が突進してきたから対処したりとか。
当然の権利のごとく障壁破壊と阻害、それから防具貫通を持っていた。
防御力を無視してくるわけではないので一撃で殺されることはないだろうが、それでも怖いものは怖い。風魔法で加速していたのも原因か?ものすごい速さで迫ってきたが、[刃物の心得]のスキルで、どのあたりに構えればいいのかが見えた。直観で分かったというべきか。
結果、両断された狼の死体が俺の顔と腹にぶつかった。馬鹿か俺は。
とはいえ死体なのでスキル発動はなく、物理無効で衝撃と目潰しだけでどうにかなった。もし死体の状態でもスキルが残っていたら……まあ、そうでなかった幸運を祝おう。
もう一匹の狼は、エリナの拳で頸骨を破壊されたらしく、血を大量に吐いてから消滅した。
初めてのころに苦戦していた狼を独力で倒せたことはうれしいが、どうにも締まらないな、なんて考えていた。
ダンジョン探索は順調に進む。