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146話 トカゲが拘っているのでしょうか。

トカゲは、執拗に剣を狙ってくる。何がそうさせているのだろうか、と思ったが、このまま剣を攻撃され続けても壊されてしまうか、あるいは受け止め損ねたら腕を千切るように持っていかれてしまいそうだ。


それでも、まだ止められている。攻撃を見切る、なんてことはできないのに。反射的に腕が動き、剣で爪や尾の叩きつけるような攻撃を受ける。


受けて、受けて、受けて、受ける。反撃なんてできない状況なのに、疲労が溜まっていく。


それでも、死なないために攻撃を受ける。


攻撃を受けられるようなスキルや技術はないはずだし、それを証明するかのように、数秒で体力の2割程度を持っていかれた。


ゲームなら負けイベントだが、この世界ではそんなものはない。負ければ死ぬだけだし、強いやつらが助けに来てくれるような場所でもない。仲間たちがある程度距離を取れたと判断したが、少しずつ下がることすら許されないような攻撃だ。耐えられてあと1分くらいだろうか。それまでに何かできることを考えなければ。


岩を崩す? それは無意味だ。アイツが壁を砕いて出てきたから、足止めにもならないだろう。

攻撃に移る? 隙が無いし、349G……3490億もある体力を削れるはずもない。

耐える? 自己回復していても、防ぎきってもゴリゴリ削れていく体力と溜まる疲労。無理だ。


焦りと恐怖が思考を妨害する。なにか使えそうな技能はあるか。物はあるか。


……思考時間を稼ぐだけなら、もしかしたら。


藁にもすがるような思いでそれをする。自発的にそれを使うのは初めてだろうか?


[神託]のスキル。よく見ると、剣で攻撃を受け止めるたびに神託のスキルレベルが上がっていく。もともとこっちの世界ではこういったスキルだったのだろうか。


「いいヒントをくれよっ……」


いつもの神託部屋に呼ばれることは無かったが、攻撃の間隔がスキルを自発的に使う前の5倍くらいに感じた。見えるというか分かる、というか。引き延ばされたようにも感じた。


体力の半分を喪失したところで、ようやく1発を躱す。当たらなかった相手の尾が、物凄い勢いで岩壁にぶち当てられる。石のつぶてが全身にぶち当たるが、トカゲの一撃を抑え込むよりも被害はかなり小さい。


切り返すように尻尾が振るわれようとする。それを受け止め、剣を振る。


一瞬だけトカゲの動きが止まった。しかし、逃げるには不十分すぎる隙。だけれども、落ち着くには十分事足りた。


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