142話 運び終えてからのことは関与できませんが。
運んでいる間に雑談のようななにか。
「コイツラは12日程度に1回のペースで食事するんだけど、その時の食事が名前に入っている鉱石や原石を喰らうの。その時の排泄で、金属精錬したり、魔力加工、あとは別の金属に変えてしまうこともあるとかなんとか……それで、その時の食事量が350立方メートル以上の岩石や鉱石を食べるらしいの。岩石なんかのどこに魔力や活動エネルギーが含まれてるのかなんてわからないけれども、それでも生きているからどうにかしてエネルギーを得ているのよねぇ」
「サマンサ、熱く語っているところ悪いけれど、私達がこいつらを貰うことはできないよ。そもそも飼育するための岩石を入手できないし」
「龍の鱗とか食べさせたらどうなるのかしら」
「聞いてないなこいつ……」
土魔法で土や岩石が動かせるっていうことは、一切のエネルギーが存在しないっていう訳ではないんだろうけども。少なくとも地球で言うところのカロリーとかいうものは含まれていなさそうな気がする。ああでも、土だけ食べて生きている人は……胡散臭いけど、一応は聞いたことがあるな。
で、何の話だったか。こいつらのうち一匹でも貰ってしまおう、と考えてるのかサマンサは。研究者とかそういう感じではなかったはずだが。
「単純に資金稼ぎ的な問題で? 龍蜂が金属を集めてくれてはいるけれどもそもそもの出所が不明だし、量も心許ないじゃない?」
それでも十数日おきに350立方メートルなんて用意できない。というかあの鉱山の深さはどんなものになっているんだろう。リソースも無限なのだろうか
「というか、こいつら川べりでみた機械のトカゲとは随分見た目が違うよな」
「水トカゲと岩トカゲじゃあ生態がだいぶ違うしね。それに機械になってたのもあるし、いろいろ行動は変わっていたと思う」
「ふむ……戦った時はきつかったけど、聞く話じゃこいつら肉食じゃないみたいだしな。凶悪な益獣っていう認識でいいのか?」
「たまに動物を食らう個体がいるらしいから、そういうときは討伐依頼が来ることもあるらしいわ」
カルシウム摂取かよ。いや魚食え。あるいは血液から鉄分を摂取しているのかもしれない。鉱石トカゲという名前で肉を摂取しようとするなっていう話だ。
そんな風に雑談をして坑道の出入口に……サマンサが坑道管理官らしき人達と交渉していた。
エリナがうしろからツッコミを入れてそのまま引きずって連れ帰ることに。
捕まえた数が多ければ報酬も増えるだろうが、このままでは暴走すると判断せざるを得なかった。
……いや、そんな顔しても駄目だからな?