13話 ダンジョンに入ったので、力量の確認です。
昼過ぎにもう一本上げられたらいいな、という感じです。
5階までは、ゴブリンのようなもの、大型の芋虫など、ほとんど害のないものが柵で囲われていた。ドロップ品の傾向が違ったりするのだろうか。少なくとも小屋の方に表記されているレベルは違うみたいだが、そもそもゴブリンも芋虫も落とすものがあまり良くない。さっさと抜けてしまった。
6階。この辺りではまだほかの冒険者たちと遭遇する。人の数もインフレしてるのだろうか。京都の観光向け寺社仏閣くらいにはいる。以前盛で会ったクマの小さいやつと戦っている冒険者もいるが、ほかの冒険者曰く、救援要請発言が来るまでは手出し無用だとか。獲物の横取りはご法度だそうだ。ただし、走りながら逃げてくる冒険者には注意。魔物を利用した冒険者殺しかもしれないし、後ろから刺されるかもしれないからだ。
本当に危険そうだと判断できた場合に助けに入ること。
あ、さっきの冒険者たちが助けてくれ、と……救援が入ったら物の数秒。あっという間だったな。
実入りはすくなく……んー、さっきのクマの4倍以上の大きさの奴が俺たちの行く手を塞ぐんだがしかも2体。ほかの冒険者には手を出さず、俺たちだけを見て火を噴きながら威嚇してくる。さっきの奴の親か?と思ったが、そういう法則は当てはまらなさそうだ。
「二人で1体ずつ行くぞ」
「いや、今回は私とシーナの実力を見てな?一度も戦闘をみないまま連携なんてできないだろ」
一理ある、と思い、危険だったら言うように伝えた。
結果、エリナはいくつかの補助魔法を唱え、一歩も動かずに拳を振るう。結果、風圧でクマの胸部に穴をあけた。え……?
「これが一撃の全力。補助の時間もかかるし、毎回これを撃つのはむりだけどな」
「いやいや、えぇ……」
言葉が思いつかない。
「あ、そういえばシーナは」
「もう終わった」
クマの目は抉られ、気道と頸動脈、それから肩の健を斬られて絶命していた。
狙った攻撃も闇雲の一撃も封じた後に、確実に首を引き裂いたようだ。
クマよりも肉食獣めいている。
数秒後、白い光になってクマたちの亡骸は消え、片方はなにも落とさず、片方は爪を落とした。
「お、嗅覚のスキルだ。ほしい人いる?」
エリナが問いかけるが、誰も挙手しないのでそのままエリナのものになった。シーナにもスキルが落ちたか聞いたが、首を横に振った。おそらくだが落とさなかったようだ。
爪……は、とりあえず俺が管理することに。バックパックに入れておけばいいだろう。
強い魔物が出てきたら、俺がタンクを張って、シーナとエリナで確実に削る。サマンサは補助メインになってもらえばいいか。回復魔法もあるし、自己回復に使ってスキルレベルを上げていきたい。
盾か何かを買っておけばよかったか。自己防御が若干低いのは不安ではある。
もし仮に耐えきれるダメージだとしても、クマの一撃を受けるのは怖すぎるからなぁ。
そんなことを考え、戦闘計画を告げてから、下の階層へ進んでいく。