121話 狩猟の結果です。
承認欲求の肉塊になっています。いっぱい読んでくださいね!
「さて、そろそろ帰るか」
滞在時間は2時間にも満たなかったが、そろそろ戻っても大丈夫だろう。鳥たちは警戒して数時間は戻ってこないだろうし、羊をもう一度呼び出すにはもう一度鳥を狩る必要がある。
というのも、羊が匂いに気付いたのは嗅覚スキルだけではなく、血抜きされたコカトリスもどきの血が180羽ぶんあると、その血が発揮するスキルだからというのがある。自分たちの群れが襲われた時に対応するカウンタースキルという形らしい。
一か所にまとまっている必要はないが、ある程度近い場所にないと効力を発揮しない。そして1度きり。血が乾けば『別物』として扱われるらしいが、冷蔵庫もない世界だ。バックパックの中でも時間が止まるなんていうおまけはもらえなかったので、傷む前に運んでしまおう。夕方には帰れるはずだ。
「ぶろろーん、ぶぉんぶぉん」
「どうしたんだエリナ、タイヤの真似なんかして」
「いやぁ、なんとなく? 特に理由があるわけではない……と、前の方ほかの冒険者がいるぞ。撥ねちゃうか?」
「物騒なことを言うのはやめろ撥ねねーよ。あれだ、俺たちが行っていた場所に?」
「たぶんそうだと思う。時間的にはコカトリスもどきも戻ってきてるだろうし、特に気にすることは無いんじゃないかな?」
「ふむ、そうか……じゃあ一応挨拶を……と、だめだ逃げるぞ。こっちに武器を構えてる」
自分たちで狩りにいくよりも、持っている人から奪ったほうが早いというのはまあ間違った判断ではないだろう。
「やっぱり撥ねればよかったじゃないか!」
「そういう問題じゃないっ……!」
アクセルを踏み込み、やり過ごす。魔物の大群を相手にした時よりも嫌な汗をかいた。
人を相手にすることには、まだ抵抗というか、苦手意識がある。そんな暢気なことを言っている場合ではない状況に遭遇してしまったのだが……うん、今回は逃げきれた。遠距離で魔法も撃ってこないし大丈夫だろう。
ああいう人達もいるっていうことを忘れないようにしなければ。
街に到着した後、冒険者組合の方に羊と鳥、それから羊毛を卸す。普段は大したことのない価格になるそうだが……状況が状況なので、合計で6億近くの売り上げになった。
所持金を皆で確認したところ、合計金額が25億278万4489クラピとなった。家も資産と考えると、30億くらいにはなるんじゃないだろうか?
エントも含めた自分たちの1日あたりの生活費はだいたい3000万。100日分くらいか。
暫くは余裕がありそうだ……けれども、稼ぎに出るのは怠らないようにしないと。