120話 羊の群れもどうにかしましょう。
前話を上げて気が付いたら17時前でした。フリーターでよかった…(よくない)
羊の群れ。といっても、想像するような羊とは違っていた鳥の群れと違って6匹と数はかなり少ないが、少なくても迫力が恐ろしい。大きさや表情から、ライオンのようにも見える。名前は『獅子の衣』というらしい。
血抜きした鳥とその血だまりのにおいを察知してやってきたようで、鳥は早いうちに車の中やバックパックに回収してある。必然的に血だまりの方に向かい、暫くその場所を探すことになる。俺たちに興味を向ける前に行動を起こす。
というのも、こいつらのスキルが結構尖っている。
[嗅覚/Lv92]
[視力弱化/Lv122]
[防刃・羊毛/Lv62]
[燃えやすい羊毛/Lv88]
[突進/Lv229]
[物理無効破壊/Lv99]
[荒い気性/Lv77]
一匹を鑑定してみた結果こんな感じだ。数値こそ違えど、デメリットスキルになる程に視力が弱く、炎に弱い。羊毛を焼いてしまえば防刃のスキルも使えなくなってしまうので、おそらく切断してしまうこともできるだろう。
だが、今回はそうしない。シーナのスリスキルで、羊毛ごと盗んでしまう。
「いけるか?」
「問題なく」
シーナの返事を聞き終える前に、目の前の大羊達の羊毛は丸裸になっていた。スリってどの程度までスリなんだろうな……と思いつつ羊を見ていたが、気付く様子はない。
「……一人一匹か」
誰かが呟き、それぞれが自分の対面にいる羊の首を、それぞれの武器や魔法、拳や牙で切り落とした。俺は少し暴れられて手間取ってしまった。攻撃は受けなかったのでセーフだ、セーフ。
さて、こいつも血抜きだ。
「シーナ、さっきの武器は? 私にも使えるか?」
エリナがシーナに向かって問いかける。瞬間的すぎて俺には見えなかったが、エリナにはばっちり見えていたらしい。
「東側の借金のカタに売られていたものの転売市で買った、魔鋼製……っていう名目のワイヤー。本物のミスリルではなかったけども、強度は十分だったから買ったの」
「ミスリルの製法なんて失伝しているって言われてるし、本物ならあんなところに出回るはずがないしね」
「なんだよー、二人だけの秘密か?」
「あなたは興味ないーっていって食材買いに行ってたじゃない?」
「あ、あの時のか!」
女子同士の会話を聞いていても怒られないのは不思議な気分だった。
血抜きも終わらせたので、早いうちに帰ろう。
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