116話 行く先に悩んでいますが。
人が少しずつ戻り始めた。すべてが戻ってきているわけではないが、それでも人の気配というものが感じられるようになっているらしい。
ダンジョンに入っていた人たちもいるので、窯焼きの土壁は少しずつ戻していくことに。大きなガラス張りのドームのようになってしまっていたので、内部がどのくらい高温になっていたかは推して図るべし、といったところか。
立ち入り管理の小屋は魔物たちに荒らされていたか壊されているか、そうでなくても燃え尽きてしまっただろう、との判断で、新しく建て直すことに。
報酬は一人当たり4500万クラピ。土魔法は持って行って問題ないとのことなので、割と良い報酬だったんじゃないだろうか?
ただ、一人当たりというのがミソか。2人や3人のパーティと、俺たちのパーティだと倍近く報酬が違う……だからと言って突然襲われたりすることは無いだろうが、それでも気を付けておいたほうがよさそう。
戻ってきた人たちだが、檻にとらわれていたような気がする、という話らしいが、詳しい日数も覚えていないらしい。日数が覚えきれないくらい捕まっていたとかそういうことではなく、時間の流れが違うんじゃないか? という予想だ。
時空間魔法とか、あるいはその類のスキルとか技術とか。見えなくなっていたものと同じような感じなのではないか、と俺は勝手に予想を立てているが確認しようもない。
あとは、例の魔塵が溢れていた建物から、魔塵が再度出るようになったそうだが、それでも今までと同じペースで掃除しておけば、前のように溢れかえるような状況にはならないだろうとのこと。初心者や魔法を使用しない戦いをする人に危険性を教えたり、回収したそれを販売したりする先が存在するので、尽きていないのは良いことだそうだ。
そういったこととは別の問題として、住処をどうするか、というものがある。
この街が危険だと判断したからこそあちこちの街を巡るようにしよう、と考えたわけで、現状の危険性がなくなったといえる今の状況、その判断は修正するべき……だと思っているが、そのあたりはみんなと相談して決めることか。
するべきことが多い。考えるべきことが多い。こっちに来る前も似たような状況だったとは思うが、逃避ばかりだった。
少しでも有意義に時間を使えているから、ここに連れてきてくれたあのロリ神様には感謝しておかないと。
多分面と向かっても、恥ずかしくて言えないだろうけど。