104話 少しの間家の中でぐだぐだと。
三人が起きるなり、口々にヘタレ野郎と罵られた。まだ酔っているんだよな?
寝てる人を起こさないようにそういうことを致す技術も気力も経験もないんだ。というか、もしそういうことを求めているのなら起きている時に求めてくれ。俺はヘタレで構わない。
メモリは笑いながらこちらを見ているだけで特に何かを言ってくる様子はないが、傍観に徹するつもりだろうか……
「メモリ、コッチ来いよ」
「お誘いはありがたく受け取っておきますが、やーですよ」
いっそ逆に振っきれるかと思ったのだが、そうもいかないか。というか、なんでこんなに好感度が高いんだ? 何かしたような記憶もないし、こればっかりはなぜかわからないんだが。
「消去法だな、まともなオスに遭遇しなかったせいで基準がおかしくなっているのはあると自覚してる」
「んー、私を私として見てくれたからっていうのはあるかな? 初恋なのかも」
「私は……なんでだろう? 最初に見たときからなんというか、違和感? 興味? とりあえずそんな感じ」
「わぉん」
「それでいいのか……というかシルバー。お前もか」
残念ながらシルバーが人化でも覚えない限り……いや、そんなこと考えるだけでも原因になりそうだ。
……だとしたらもう手遅れなのだが、気持ち的に。
「というか、そろそろ依頼を受けに行ったほうが良いんじゃないか?」
「ああ、調査のやつ? 受諾しておきましたよー」
メモリの奴が、他全員が寝ている間にやってしまったらしい。受けることは決まっていたが、手際がいいというかなんというか。
昨日帰ってきていた時点で、俺の意志を確認するだけだったそうだ。
「明後日に出発するそうで。乗合の高速馬車を借りて移動するけれども、早馬だとかダンジョンや移籍の出土品とか、自分たちの移動手段がある場合は使っても問題ないそうで。ただし調査入りするのは同時に、先に到着していても待っていてほしいと」
「何かが大量発生していて都市跡から飛び出す原因になっても困るしな。他に注意することは?」
「1か月は調査にあたる予定だから、そのあたりを考慮した荷物を、というのと、食料はある程度負担してくれるそうで」
「ある程度、ねえ」
どのくらい必要になるだろうか?
「今日明日は休憩と準備に充てておこう。あとは……今のところは思いつかないな。とりあえず準備に行くか」
伐採や荷運びで、いくらかレベルが上がっていたようだ。あとで確認しておこう