1話 チート能力をもらったはずが、新人冒険者並でした
はじめまして、初投稿です。
仲間内で「こういう題材ってないよね?」という話になり、それを形にしてみました。
もし据え置きゲーム、他作者様のノベルなどで似たような題材のものがあったりしたら、私の調査不足です。
似てる!とかかぶってる!とかあっても、意図したものではないです。
こいつ調査足りないんだな、と生ぬるい目で見てやってくだされば幸いです。
似ている作品があっても、真似てしまう可能性があるため、プレイや読書はしないと思います。
どうやら俺は死んだらしい。事故のようなものだ。とは言ってもトラックではない。家の中で爆発音がしたのを覚えている。どうやらガス爆発らしい。お袋め、元栓を閉め忘れていたな。
とはいえ死んだあとに何故意識があるのか…これが死後の世界…?
「聞こえますか、おにーさん!」
「うわびっくりした、誰だ」
「あなたこそ誰ですか、私の空間に勝手に入ってきて!」
向こうとしても俺の存在はイレギュラーらしい。やめろ、そんな目で見るな。
とはいえ三十路が見えてきていた俺をおにーさん呼ばわりとは…それだけで警戒を緩める俺はどれだけチョロいのか。
閑話休題。
「あー、多分元の世界でも死んだし、生きていたとしても戻り方はわからないんだが…」
「は?おにーさんはクソザコですか。人間の癖にここに入ってこれたんですか?というか人間に侵入される私はどれだけなんですかね…」
撤回、やっぱりこいつ嫌い。
「というか、あー…所有権がおかしく…こほん。私も望まない形ですが、おにーさんは私の所有物となってるみたいです。ペットみたいなモンですね。で、こッちとしては、ただ愛玩動物を飼う経済的余裕なんてないんです。偉い人に怒られますしね。だから、あなたに仕事を与えます。拒否権はわたしにもありません」
捲し立てられるように言われたがよくわからない。
「人の話を聞きましょうって良く言われませんか?私は神ですが。それでですね、あなたに任せる仕事は、分かりやすい表現をするならば新しい世界でのデバッグです。あなたの時間で数ヶ月前に作ったんですが、うまく回っているか確認が後回しになっているんです。製作発表会があるんですよ。大学の論文みたいなものです」
「そんなに大事なモノを初めて会った人に任せていいんですか」
「話が進まないから上げてもいない足を取ろうとするのはやめなさい。でまあ、デバッグだからあなたにそれなりの能力値を与えておこうと思うのだけど…ああ、魔法のある中世ファンタジー世界における科学の発展速度のサンプルだから、あんまり知識を振りまくような事はやめてね」
欲しいステータスを書きなさい、と紙とペンを渡された。
少し悩んだが、デバッガーなので贅沢をしてもいいだろう。
HP 、MP、力、技量、速度、魔力、防御力、魔法抵抗力、幸運値。9のステータスを全て1億に。
レベルは当然100。
スキルには物理無効と魔法反射、それからステータス把握、言語翻訳、それと頑健という健康を保つスキル。あとは、睡眠時に目の前の神さま?と通話する、寝話というスキル…これは初めから書いてあった。
これだけあれば困らないかな?
「本当にこれでいいの?」
正気か、と言われたような視線で見られた。まあこんなチートを書き連ねたら当然ではあるか。でも、
「これでいいです」
「じゃあ、年齢を少し弄って…よし、大変だろうけど頑張って!」
労いの言葉を貰いつつ、俺は異世界へ向かった。
軽く目を閉じてから開くと、建物の中にいた。剣士やら戦士やら魔法使い…そういった感じの人、依頼掲示板…どうやら冒険者登録しろ、という事らしい。
「おいにーさん、いつまで入り口で立ってるんだ?」
ガタイのいい戦僧の青年に忠告されてしまった。
「ああ、田舎から上がったばかりでな、おのぼりさんって奴だ、申し訳ない」
「いいって事よ。強くなったらパーティに入れてやるぜ」
親切心から言っているんだろうが、人の強さを見抜けないとはまだまだだな。会釈をしてから受付へ向かう。
「冒険者登録をしたいのだが」
市役所の受付みたいに待たされることはなく、書類を書かされることに。
とは言っても署名だけか。
1.正当な理由なく決闘を行わないこと。
2.ギルドにおける蘇生限界回数は5回まで。また、蘇生費用は自己負担。ギルドカードに蘇生希望/拒否の記載をすること。
3.ステータスはメンバーカードに記載される。原則ギルドに対しては秘匿不可。メンバーに対しては開示拒否できる。
4.掲示依頼は現在ランク+1を受領上限とする。また、どんなに強い者でも最低ランクからの登録になる。
強さランクは下から順に・(ドット)-(ライン)△□…と角の数が増えた方が上位らしい。
今のところ最高位は8角形で、数字が読めない者もいるから図形にしているそうだ。
名前は以前ゲームで使っていた……マークでいいか。
そういえば所持金が…財布を頼んでいなかったな、依頼を受けた方がいいのか。
受付係は俺のステータスカードを疑わしげに見ていた。が、騒ぐような事はなかった。まあ騒ぎになってもいいんだが、喧嘩は嫌だしな
「依頼は…と、これなんかどうだ」
いくら数値が高くても、戦闘慣れはしておきたい。狼が家畜を襲っているから退治して欲しい…との依頼。
「おにーさんも新人?」
その話し方にビックリしたが、見た目は俺より年上の魔女?が俺に誘いをかけてきていた。美人局とかの類ではない……と周りを見て判断した。そういえば識別のスキルを使ってみるか。
[スキルレベルが低いので看破できません]およ?
まあそういうこともあるか。
「あ、あぁ。そっちは?」
「私も似たようなもの。サマンサよ」
「俺はマーク。臨時パーティでも組むか?」
正直言って素敵な人だと思う。ローブで体格をかくしてはいるが、大きな胸は布越しでも主張しているし、化粧気がないのに素敵な肌だ…良いところを見せなければ。
「ええ、よろしくね?私の補助魔法が火を噴くわ」
「はは、火を噴くのは攻撃魔法じゃないか?とはいえ、攻撃補助がメインになるかもな。物理無効持ってるし」
あ、ウッカリ…まあ新人の冗談として受け流される、かと思ったが、返事は俺の予想とは全く違うものだった。
「あら、狼は無効障壁の破壊が出来るから軽減がないと危ないわ?」
……え?
「すまない、ステータスカードを見せてもらっても?」
「ん、あー…いいわ?このままだとおにーさん死にそうだし」
彼女のステータスカードを見るとこうなっていた。
サマンサ Lv167
HP 178,251,121/178,251,741
MP 149,821,124/150,003,192
力 80,241,625
技量 50,082,624
速度 120,075,565
魔力 180,062,997
防御 70,024,282
魔抵抗 170,524,644
幸運 秘匿
スキル 秘匿
数秒悩み出た結論。
チート能力をもらったつもりだったが、インフレ世界だったらしい。
初回なので普通の長さはありましたが、短文で高頻度の投稿か、少し伸ばして頻度を下げるかというので悩んでいます。
どちらにしても、週1投稿を最低限目標にします。