表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方 幻桃鬼想  作者: 幻茶
7/22

7話〜魔法使いと格闘家〜

前回までの話


霊夢たちの後をつけていた人物に気がつくが魔理沙はそれを追いかけてしまい離れ離れになってしまった。

霊夢は明らかな罠に頭を抱えると仕方なしに1人進んだ。

すると留玉臣と名乗る二人目の刺客が霊夢の前に立ち塞がり戦闘が始まるが一般人を巻き込みかねない攻撃に流石の霊夢も本気を出し決着がついた。

その少し前、魔理沙は後をつけていた人物を全力で追っていた。

鬼人正邪?そんな者は居なかった。


「おい、待て!」


そう言いながら狭い路地裏に滑り込むと人影を追った。


シュンシュンと俊敏に動き回る様に惑わせれそうになりながらも何とか付いていく。


その俊敏さに走っても追いつけないことがわかると走る勢いを殺さぬようにして箒にスケートボードの様に飛び乗った。


「いっけぇぇぇ!」


ズドンと勢いの良い加速をする。


そして、一気に差を縮めると、人影は急に振り返り横に置いてある荷車を片手で軽々しく掴むと投げ付けてきた。


「なっ!?」


咄嗟に上空に避け、旋回しそのまま箒から降り、スタっと地面に着地した。


気付けばソコは玲紗堂の目と鼻の先だった。


誘導されたか?


「へへ、取り敢えず目的完了だぜ!」


そう呟く少女はコチラを見てウインクを決めた。


目的?はなから私を霊夢から引き離すのが目的だったのか?


だが、何故ここまで私を誘導したんだ?


「何なんだぜ、コイツは」


そして、月明かりの光で相手の顔が照らされ…驚いた。


そこに居たのは、服装こそ違えど私と瓜二つの顔だった。


「ハハッ、世界は広いもんだぜ、もしかして、私双子だったのかな?」


そう言うと少女は肩をコキコキと鳴らした。


「私の名は楽々森彦ささもりのひこ、親しみを込めてひこでいいぜ?」


そう言うとステップを踏みながら軽く手を握った。


それを見て、思わずこう呟いた。


「ソレはボクシングか?素手で殴り合うなんて寒気がするんだぜ」


するとひこは軽快なステップと共にシュシュと可愛らしくジャブをするとニヤリとした。


「俺からしてみれば魔法よりもこっちの方が面白いぜ?」




タタッと軽快なステップと共に拳と箒が交わる。


箒に魔力を通し槍のように構えて攻撃する。


当然、当たれば痛いでは済まない筈だがひこは軽々と受け止めている。


ヒコのパンチを箒でずらすとその勢いを利用し、ヒコの顔に箒の柄を叩きつける。


が、ソレは難無くヒコの手首で受け止められる。


クッと声が漏れるのと同時にヒコの拳が迫る。


それを紙一重で躱すと同時に攻める。


リーチでは勝っているが接近戦の技量では明確な差を感じる。


遊ばれてる事は明白だった。


出来れば距離を置いて魔法で一気に吹き飛ばしたいところだが…


牽制用に魔法を放ちながら後ろに後退するが

即席の魔法では意味が無いと嘲笑うが如く魔法を打ち破って距離を詰めてくる。


「へへ、何だかんだ言いながら魔理沙も殴り合いが好きなんじゃないのか?」


そうヒコは馴れ馴れしく言うと構えた箒の合間を取って素早くパンチを懐に沈めた。


ゲフッと息が出て、体がくの字に曲がる。


ツゥ。速い!


そして、一瞬の間を置いての芯の通った正確なキックが私の胴を正確に捉えた。


「ガッ!?」


視界が揺れ、一瞬の空帯感を味わうと勢いよく家に突っ込んだ。


瓦礫と砂埃が私を包んだ。


ゲホゲホと咳き込みながら瓦礫をどかして立ち上がる。


口の中の血をペッと吐き出す。


確認してみれば私が吹き飛ばされたところから少なくとも30mは飛んでいた。


なんで揚力…鬼かよ。


懐から粉々に砕けた護符を取り出した。


万が一の為に用意しておいた防御護符もたった1発でお釈迦になった。


たく、作るの凄く大変だったんだがな…


因みに試作機は私のマスタースパークを撃っても壊れなかった程のものだ。


どうやら相手は立ち上がってくれたことが嬉しいのかニヤニヤと笑みを浮かべていた。


「たく、驚いたぜ?私のキックを喰らってもまだ動けるなんてな」


そう言うとまた小刻みにステップを刻んだ。


手をクイクイと動かす。


来いよ…そういう意図なのだろうか


なら、行ってやる!


バッと箒にスケボーのように飛び乗ると


懐から八卦炉を取り出した。


「なら、本気で行かせてもらうぜ!」


そう言うと爆音と共にヒコに向かって突っ込んだ。


「イッ!?危ないな」


咄嗟にヒコは屈んで避け、上空の私を睨んだ。


「上空に逃げれば問題無いってか?甘いんだぜ!」


そうヒコは叫ぶと勢い良く跳んだ。


いや、飛んだと表現すべきか、ほぼ瞬間移動のように目の前に出現するとその目が合った。


だが、


「そんな事、とっくに予想済みなんだぜ!」


そう言って八卦炉を構えた。


「いッ!?」


ヒコは咄嗟に手を組み防御の体制を取るがもう遅い。


「チェックメイトだZE☆」


帽子のツバを人差し指であげるとニヤリと笑った。


そして、八卦炉が光り輝いた。


ーー恋符 マスタースパークーー


「マスタァースパーク!」


チュドォォンという音と共に光線が彼女を包み込んだ。


「ああッ!」


ヒコの悲鳴が小さく響き、ドサッという砂袋が落ちるような音を立ててヒコは地面に落ちた。


この高さから落ちたんだ、無傷じゃないだろう

し、ゆっくりと眠っていて貰うとしようか。


そう呟くとフッと八卦炉から出る煙を吹く。


「たく、さっさとこの異変も解決しな!?」


その瞬間、ガクンと箒が揺れた。


下を見ると服に擦り傷が目立つが健在なヒコが箒にぶら下がっていた。


「オイオイ。まだまだ終わりはしないぜ?」


そう言うと私が乗ったままの箒を投げた。


くうっと悲鳴を上げながら上空から地面に叩きつけられる。


箒から落ちた時に使う予定だった魔法を使ってスピードを落とす。


シュタッと地面に着地すると、カラカラと音を立てて真っ二つにへし折れた箒が目の前に落ちてきた。


あ〜あ、愛着があったんだけどな…


10mぐらい先にヒコは降りると頬についた煤を手で払った。


「さぁ、コレで空は飛べないな。さて、それにしてもお前、面白いもん持ってるな…えーと、はっけろ?ますたーすぱーく?どーでもいいけどそいつら全部貰ってくぜ?」


すると、ヒコは拳を構えた。


「コレは生憎私の宝物でな、やらないぜ!」


そう言うと八卦炉を構えた。


マスタースパークを直撃しても健在な相手にどう立ち回るか必死に考える。


ヒコは怪訝な顔をすると姿勢を低く構えた。


「おいおい、来ないのか?なら…私から行くぜ!」


ビュンっという異音が遅れて目の前にヒコは現れた。


相変わらずの速さについていけず咄嗟にマスタースパークを放とうとするが右手で八卦炉を叩き落とされる。


「ぐぅっ!?」


焦る私にヒコは首筋を掴むと私を地面に叩きつけた。


咄嗟のことに受け身が取れずガハッと肺から息が吐き出される。


「コレでチェックメイトだぜ?」


そう言うと拳を振り上げた。


その拳が振り下ろされれば私の顔は一瞬でミンチになるだろう。


だが、私はニヤリと笑ってこう言った。


「ああ、チェックメイトだ!」


そう呟くと同時に上からヒコの頭にフラスコが直撃した。


ヒコに首を掴まれ押し倒された瞬間に咄嗟に上空に投げたものだ。


そこまで狙った訳では無いが結果は想像以上の効果に笑んだ。


揮発性の爆発物がたんまりと入ったフラスコがボンッと音を立てて爆発した。


ソレは比較的小さな爆発だが、ヒコは耐えず手を離した。


「くっ!?」


そして、その無防備な顔に予備の八卦炉を構えた。


「八卦炉が一つしかないと思ったか?」


「いっ!?しまっ」


ーー恋符 マスタースパークーー


チュドォォンと爆音と共に光線がほとばしる。


ソレは今度こそ彼女を捉え吹き飛ばした。


光線が通りすぎ、ジリジリと八卦炉に紫電が舞った。


「そこでお昼寝してな、ヒコちゃん」


私は倒れたヒコにピッと指を振った。





そして、一息つくと玲紗堂を一度睨みつけた。


この門の先、この門の先に今回の異変の黒幕がいることになっている。


だが、この規模の異変を作り出した者との直接対決となると流石にため息をついた。


だが、此処で帰る訳にはいかない。


私は決心しヒコに背を向け、そのやたら大きい扉を押し開けた。


第一印象は巨大な庭と寺、神社をモチーフとしたであろう豪勢な建物だ。


そして、左右には物置?だろうか、大小様々な建物が建てられていた。


確かに外から見た時からここの大きさは分かっていたが実際に来てみればわかるが予想以上よりも何倍も大きく感じた。


その時、パチパチと奥から拍手が響いた。


「流石ですね、まさか彼女達が負けるなんて、全くもって想定外です。」


暗闇から響く綺麗な声に眉を顰めるとその方向に八卦炉を構えた。


登場人物


楽々森彦と彦五十狭芹彦命については第3話を参照してください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ