表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方 幻桃鬼想  作者: 幻茶
6/22

第6話〜クズと麗人〜

前回までの話


霊夢たちは夜の闇に紛れてこの異変の元凶を倒す事に…

だが、相手もそれを知っていたかのように犬養健と名乗る少女が立ち塞がった。

魔理沙とのコンビネーションで敵を倒すがその攻撃は明らかに命を狙っていることに霊夢達は改めてこの異変の異質さを改めて実感すると夜の人里を進んだ。



「ふん、待っていたぞ!博麗の巫女!」


そう言うと目の前の天邪鬼は悪びれもなく悪人顔で笑うと両手を広げた。


「ハハハッとうとう私達、虐げられし者達の反逆の時が来た!私こそがーー」


「……はぁ、めんどくさい」


そう心の中で呟くと目の前の天邪鬼、鬼人正邪きじんせいじゃは気に食わないと言わんばかりに眉を潜めた。


「おい、人の話は最後まで聞くもんじゃないのか?」


「え、聞こえてた?ゴメンなさい、余りにも予想通り過ぎてもう溜息すら出ないわ」


すると魔理沙は余りにも退屈なのか大きな欠伸をした。


「なぁ、霊夢さっさと行こうぜ?」


「そうね、こんな阿呆は放っておいてそうしましょうか」


そう言って正邪の横を通り抜けた。


元からこんな阿呆を相手している暇はない。


というか、コイツはあれだけの事をしておいてまだ懲りてないのだろうか。


こんな忙しい時にホント何を考えているんだか…


そう息を吐いた。


すると正邪がクスッと笑った。


「良いのか?俺はこの異変の元凶を知ってるんだが」


「何?」


「いや、元凶だけじゃない、発端、特徴、戦略、目的、元凶。無論、私は全てを知っている」


頭で考える間も無く疑問は口から出ていた。


しまった、と心の中で毒づくがもはや遅い。


正邪はニヤニヤと笑いながら言った。


「私はありとあらゆる反逆を好む、その私が知らないとでも?」


「そんな…アンタが嘘をついている事だって…」


すると、正邪はヤレヤレと息をついた。


「私がお前達を騙してなんの利点がある?」


確かにその通りだ、金を要求してくる訳では無

い、隠れ家を要求してくる訳でもない。


そもそも私達の前に出ることすらリスクがあるのだ。


コイツは現在進行形でお尋ね者なのだ。


そう、全くもって無駄な行動に眉を顰めた。


…コイツなりの理由があっての行動なの?


そう思うとコイツの言葉にも些か信憑性が出てくる。


そう言うとニヤニヤと地面を指した。


「ククッ教えて欲しいか?欲しいよなぁ?なら土下座ぐらいしてみろよ、アホ共。」


クッ、この野郎。


心の中で殴り倒すが取り敢えず冷静さをアピールしつつ、チラリと魔理沙を見る。


魔理沙は何処か怒りつつもこちらの視線に気づき目を伏せた。


魔理沙も今はこの要求に従った方がいいことに気がついたようだ。


「…分かったわよ、土下座すればいいんでしょう?」


「ククッ、当然だな」


ほら、アンタも。そう静かに魔理沙に呟くと

魔理沙も渋々頷き二人仲良く土下座した。


「あはははっ、何か言う事は?」


「「お願い致し…ます」」


後で覚えておきなさい。そう心の中で呟く。


その声を聞くと正邪はニヒニヒとヤラシイ笑い声をあげた。


ウゼェ、ギリッと奥歯がなるが取り敢えず我慢して耐える。


些かどころか非常に屈辱的だが、今回の異変の敵は弾幕ごっこに則った決闘をしてこない。


本気で殺しに来てるのだ。


ソレに対しての情報が貰えるなら頭の一つ下げるぐらいなど安いものだ。


「その馬鹿なツラを上げろアホ、仕方ないから一つお前らにいいことを教えてやるよ。」


顔を上げて正邪を見ると舌を出しながら中指を立ててこう言った。


「端から知る訳ねぇだろ!ばぁ〜〜〜か!」




「ふぅ、久しぶりに殴った気がするわ」


そう言うとコキコキと肩を鳴らしながら回した。


弾幕以外で殴ったのは何時頃だろうか。


今思うと偶には殴るのも悪くないかもしれない、丁度いいストレス解消になった。


霊符・霊裁天拳…いい響きかも


「ほんとほんと、全く持って時間の無駄だったんだぜ」


横を歩く魔理沙はパンパンと服を叩きながら呟いた。


取り敢えず今は妖力を追って歩いている。


因みに鬼人正邪は白目を剥いたまま道のど真ん中に放置しておいた。


あのまま朝まで倒れていて荷車に轢かれてしまえば良いのにとふと呟いた。


どうやら聞こえたらしく魔理沙もうんうんと首を振った。


その時、パキッと小さな異音が響いた。


私と魔理沙が音をした方向を見ると人影が路地裏に逃げるのは同時だった。


ちぃ、つけられてた!?


「誰だ?くそっ!逃がすか!」


気づいた時には魔理沙は一人駆け出していた。


「魔理沙、危険よ!」


そう声をかけると一瞬振り返りこちらに叫んだ。


「霊夢!後で合流しよう。どうせ玲紗堂で合えるだろ!」


「違うの、コレは罠…」


そう忠告する頃には魔理沙は既に路地裏に飛び込んでいった。


あのバカ、一人残された私は頭を抱えた。



取り敢えず魔理沙と分かれて5分ぐらいだった。


私は仕方なくとぼとぼと一人人里を歩いていた。


玲紗堂まではあと15分ぐらいだろうか…


流石に濃い妖力に思わず咳き込んだ。


全くもって今まで気がつかなかったことに溜息をついた。


私らしくないわね…そう自嘲気味に呟く。


そんな時視界の隅で何かが動いた。


咄嗟に足を止め、札を構えた。


そして、唐突にか弱い女性の声が響いた。


「…お待ちしておりました、博麗の巫女…確か。霊夢さんですよね?」


月明かりが雲から途切れ途切れ射し徐々に道を照らすと道奥から綺麗な着物姿の女性が現れた。


その女性はオドオドと腕を前に組んだ。


それを見た瞬間、私は疑問に思った。


妖力が感じられないと


妖力とは力の源、極論言えばコレがあればある程強いと言えるのだが、目の前の少女からは何も感じない、まるで普通の人間のような…


「アンタ、何者?こんな時間に出てくるし、私の名前を知ってるって事は…」


そう言うと少女は眉間に指を当てこう答えた。


「…察しが良いですね、ええ、ならご理解いただけると思いますが、ここから先はお通しする気は一切御座いません。」


そう言うと先程のオドオドした目に芯が入った。


それだけなのに妙な威圧感を感じたじろいだ


「アナタ、見た限りでは妖怪では…無いようね。だけど、それでも私を止める気なの?」


そう言いつつも油断せず構える。


コイツがアイツらの仲間だとするなら弾幕ごっこなんてもんじゃなくなる。


正真正銘、命を賭けた殺し合いになるのだから。


「私の名前は留玉臣とめたまのおみと申します。貴女を止めるように命じれたので…仕方なく倒させてもらいます…」


そう言うと彼女は掌を掲げ、空中から弓を取り出した。


それを構えると彼女の左右に光る一つずつ光輪が現れた。


アレは…別口の発射口なのだろうか?


そして、彼女はこう言った。


死んでください…と、



しゅんしゅんと辺りを舞う光線を走りながら避ける。


ジュッと髪の毛を光線が焼く。


それをしゃがむ様にして避けると無数の札を飛ばした。


シュンシュンと音を立てて札がおみに迫る。


それを見るとオミは空中に逃げた。


地面にザクザクと札が突き刺さる。


翼が無いくせにどうして飛べるんだか、そう呟くが、ふと自分も飛べたことを思い出した。


「…行きますよ、、」


そう呟くとオミは弓を構えた。


ビュンと弓に光る矢が装填され、彼女はそれを引き絞った。


キリキリと独特の異音が響く。


「千羽撃ち」


そう言うと彼女は矢を放った。


ギュインと音を放ちながら広大な光線が迫る。


「アンタ!ここら一体を吹き飛ばすつもり!?」


そう叫ぶとすぐさまスペルを唱えた。


「霊符・二重結界にじゅうけっかい!」


そう唱えると防御用の結界を辺りを守るように配置する。


ビュッ、と辺りを風がまい、桃色の結界が覆う。


そこに間髪入れずズガガガッと砲撃が突き刺さった。


爆音と閃光が辺りを襲った。


まるで地面が揺れるような感触を味わうと顔を上げた。


「流石です。皆を守るなんてね、博…ひぃ!?」


すると彼女は恐怖を浮かべた。


言葉を詰まらせたオミを私はギロリと睨んだ。


「アンタ、今の攻撃ここら辺の人々も同時に殺す気だったでしょう?」


そう言うと彼女は顔を逸らした。


「いや、だって博麗の巫女は本気で倒さなと…」


本気だと?そう心の中で呟く。


そんな様を見てかどんどんオミは顔色を悪くしてゆく。


それこそスキを見せればすぐさま逃げ出しそうな程に。


「へぇ、なら……もう良いわ!フンッ」


そう呟く頃には彼女の目と鼻の先に飛んだ。


「なっ!?」


亜空穴あくうけつ


咄嗟にオミは挟み込むように光輪を出すが

それよりも早く手に陰陽玉を生み出しそれを勢い良く叩きつける。


スパァンと勢いの良い音と共におみが地面に叩きつけられる。


「くぅう、そっそんな…」


ゆらゆらとオミは頭を押さえながら立ち上がるが既に遅い。


その時には私は数多の陰陽玉を空中に生み出していた。


固まる彼女を私は冷めた目で見つめた。


「アンタ、私を舐めすぎ」


そして、数多の陰陽玉がオミへと飛翔し閃光と共に爆発した。


それを眺めながら呟いた。


「コレが紫の前だったら貴女は死んでいたわよ?」


砂埃が消え、地面には瓦礫に埋もれながら目を回したオミの姿があった。

登場人物


鬼人正邪きじんせいじゃ

とある異変を引き起こし現在お尋ね者になっている。

支配という言葉に非常に強い不快感を示し、弱者の為の世界を作り上げようとした。


楽々森彦と留玉臣については第三話を参照


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ