第4話~天狗の新聞〜
前回までの話
霊夢達の聞き込みは無意味に終わってしまったかのように見えたが魔理沙は偶然、鬼殺しの情報を得てしまう。
その単語に不信感を抱く霊夢と魔理沙は情報を整理するために1度人里から離れた。
その頃人里では霊夢たちを監視する者達が一つの食べ物によって阿鼻叫喚の地獄を味わっていた…ごく一部を除き…
萃香が倒れてから3日後の朝、博麗神社にて
「……とうとう博麗の巫女妖怪の手に堕ちたか、人里で疑問炸裂。人里にて黍団子で食中毒者多発ねぇ、、アンタの記事を見ればなんか手がかりがあると思ったけどやっぱり役に立たないわね、この新聞紙。」
そう呟き、文々。新聞こと新聞紙を横に置いた。
その様子を発行者、射命丸 文はため息をついて反論した。
「新聞紙では無く新聞です。」
「ハイハイ、何でもいいわ。それより例のこと、調べはついてるの?」
そう聞くと文はポリポリと頬を掻いた。
そして羽切が悪そうに答えた。
「え、ええ、一応ですが、しかし結構不味いことになってます。」
不味いこと…ねぇ
そう聞くと取り敢えずお茶を啜った。
ふぅ、美味しい。
すると、石段の方から声が響いた。
「なんだ、霊夢の感は大当たりか」
「…誰かと思えば貴方ですか…そういえば私が保存用に取っておいた新聞、返してくださいよ!」
ニヤニヤと笑いながら縁側にちょこんと座る魔法使いに緑茶を渡す。
どーも、と軽いノリで魔理沙は受け取ると
悪びれもせず答えた。
「へへ、人聞きの悪い。私は死ぬまで借りてるだけだぜ?」
文はそんな態度にはぁとため息をついた。
「…何時もそればっかり…貴女は本当に長生きしそうですね…」
「そりゃどうも、まぁそんな事はどうでもいいから教えてくれよ、例のヤツ」
すると文も縁側に座り懐からメモ帳のようなものを取り出し話し出した。
「はい、取り敢えず結論から言いますと貴女の予想は大当たりです。詳細は分かりませんが確かに妖怪に対しての一揆が計画されてますね、聞くところによれば中心人物は5人でその中の1人がリーダみたいですね、そして何よりココ最近の妖力ですね」
妖力、その言葉が頭に響く。
「最近は日を増す事に人間達の力が強まってきています。流石に我々天狗も警戒視してます。」
天狗達が警戒するレベルの妖力、幻想郷の中でも妖怪の山の天狗はトップ勢力の一つだ。
ソレが危険視するというのは相当ヤバイという事だろう。
「一応、私達総力で幻想郷の血の気の多い妖怪達に迂闊に手を出さないように警告はしてますが、正直いつ戦争が始まるか…」
「戦争…ね」
そう、文は一揆では無く戦争と称した。
ソレは間違いなく幻想郷の危機だ。
最早、異変という言葉では片付けられないレベルまで来てしまっている。
ソレからも15分ぐらい報告を聞くとあらかた言い終わったのか飲みかけの湯呑みを置くとバサッと羽を1回羽ばたかせた。
ビュウッと旋風と黒羽根がヒラリと舞う。
「さて、もうそろそろ仕事に戻ります。ソレでは皆さん、どうかお気をつけて…
そうそう、霊夢さんお茶、ありがとうございます。」
そう言うとビュンという勢いのある音と共に文は空の彼方へ飛んでいった。
登場人物
射命丸文
種族、鴉天狗
幻想郷の中での一大勢力である天狗らの1人。
幻想郷最速を自称する程のスピードを誇るジャーナリストであり、実際彼女のスピードについていく事が可能とされるのは同じくスピードに秀でた吸血鬼ぐらい。また自身の新聞を新聞紙と呼ばれる事を嫌う。
最近は空から号外と称して新聞をばらまいたり色んな創意工夫をしているがやはり発行部数が少ない。
自称、清く正しい射命丸文