第21話 〜エピローグ~
後日、何も知らない人々は頭を搔きながら里の修繕に精を出していた。
まぁ、それはそうだろう。一晩たって目を開けたら里が半壊してたのだから、ソレでも笑いながら直すところはこの里の人間達の強さを表しているように見えた。
私達を含めた妖怪達が手伝うと言い出した時は里中に動揺が広がったが作業をしていく内に気さくに話しかけてくれる人たちも増え、最後らへんにはお小遣いとご飯をくれた人もいた。
特に河童の技術と鬼の怪力はとても役に立った。
それにしても萃香があそこまで子供に好かれるとは思わなかった。
いや、アレは単に身長的に親近感が湧きやすいのだろうか。
当の本人も何だかんだで嘘をつかない子供の事が大好きだったようで口では何かと言っていたが結果的には楽しそうに遊んでいた。
まぁ、ソレはさて置き、結果的に見れば排斥思想は消え、何時もの平和な幻想郷に戻った。
この不自然な程のアフターケアの良さは裏で紫達が頑張ってくれたおかげだろうか。
でも、だが、あの一晩の出来事、この幻想郷を愛した者達の事を知る者は私達だけになってしまった。
それがこの幻想郷で一番の事なんだろう、そう私の中で結論づけると歩いた。
私は今、魔理沙を連れて人里を見下ろすことが出来る丘の上に来ていた。
そう、この異変が起きた時最初に立った場所だ。
あの時の人里の様子は今でも昨日の事のように思い出せる。
ここは実は私達にとっても案外思い出深い所でもある。
今では顔すら思い出せないけどお母さんとよく遊んだ場所、魔理沙と初めてあった場所、小さい頃は暇さえあれば此処に来て静かに休んでいたことを思い出した。
魔理沙は新中した箒を御機嫌に肩に乗せるとの懐かしさに耽るように言った。
「此処は懐かしいな…此処なら人里も見下ろせるし、アイツも文句無いだろう!」
私はクスッと笑い、そうねと短く返すと丘の上に立つ1本の木の下に立った。
「ここら辺でいいわ」
そう言うと魔理沙はよっこらせと親父臭く言うと石碑を置いた。
そんな格好のいいものでは無い。私達素人が造ったものだ。
だが、私達なりに丹精込めて造ったものだ。
その石碑にあらかじめ開けておいた隙間に刀を突き刺すと彼女の髪の毛のように白くて綺麗な花を添えた。
「へへ、案外悪くないな!」
そう魔理沙はニヤリと笑った。
私も釣られて笑うとその石碑を眺めた。
その石碑には名前は彫られておらず誰の墓かは私達以外では知る由もないだろう、
だが、その石碑には短くこう刻まれていた。
〜最もこの幻想郷を愛した者が眠る〜
と
END
今回で幻桃鬼想は一度切らせていただきます。
初めての作品ということで至らぬ点が数多くあるとございますが、その点も一つ一つ直しより良いモノを皆様と作っていきたいと思います。
では、次回の続編もしくはオリジナルの話の構想が出来次第、投稿したいと思います。
また、次の作品も読んで頂ければそれ程幸福な事は御座いません。
今回、ここまで読んでくださった皆様に感謝致します。




