第20話〜夜明け前の冷たいさ〜
人里の上空で起きた目を潰すほどの閃光を見ると私と咲夜は駆け出した。
角を走り抜け、ハァハァと息を荒らげながらその現場に辿り着いた。
ソコは幻想の様に無数の光が雪のように降り注ぎ、最早、此処が玲紗堂であった痕跡をは何一つなくあたり1面はまるで巨大な竜巻が蹂躙した後のように破壊し尽くされていた。
そして、
「ッゥ、霊夢!」
私は咄嗟に駆け出そうとして咲夜に制された。
そこにはポッカリと空いた大きなクレータに霊夢とミコトが向かい合って倒れていた。
遠くから見るが2人ともピクリともしない。
私の胸の中に得体の知れぬ不安が漂った。
とっさに駆け寄ろうとするが咲夜が私を抑えた。
私は不安を隠すように怒鳴った。
「ちぃ!咲夜、そこを退け!」
「落ち着きなさい、霊夢なら無事よ…寧ろみことの方が……」
そう咲夜は自分に言い聞かせるように言った。
「何で霊夢が無事だってわか!?」
そう私は咲夜に向かって噛み付くように言うと同時に霊夢はモゾモゾと立ち上がった。
その様はありとあらゆる所から出血しており、痛々しい擦り傷とアザだらけだ。
ソレはヨタヨタと歩きながらミコトの側まで歩いた。
霊夢は倒れる様に膝を付くとミコトが何かを呟いた。
「ゴメンなーー私ー、あなたのおーさんをーーーてしまったの」
ミコトはフラフラと手を伸ばし霊夢の横顔を撫でた。
「本当にゴメンなさい」
霊夢の頬を一筋の涙が伝い鼻を啜った。
「ーーーーー」
霊夢が何を言ったのかはここからでは聞くことは出来なかった。
だが、霊夢はミコトに向かって微笑むとこう言ったのはここからでもわかった。
ーーありがとう…とーー
それを聞くとミコトは涙を流し、満足そうに頷くと光の粒子となって消えていった。
まるで端からそこに居なかったかのように居なくなってしまった。
だが、そこにはまるでミコトが確かに居た証の様に紫電が迸る刀が突き刺さっていた。




