13話〜大逆転〜
ほぼゼロ距離で射出されるナイフを刀で弾く。
ちぃ、と舌打ちをすると刀を構え直した。
「あら、もう終わりですか?」
咲夜はそんな様を見てニヤリと笑った。
ちぃ、こんな筈ではなかったと呟く。
キンッと横に不意打ちのように現れたナイフをいなす。
このナイフ自体は大した事はない、だが、突然飛んでくるという特性上、常に気を張らねばならない。
当然、攻撃に転じる余裕なんて生まれないし、敵は十六夜咲夜だけではない、魔理沙と呼ばれる魔法使いだけならまだしも博麗の巫女までいる始末だ、ソレに私の能力は一人では意味が無いし出来れば使いたくない。
ビュンという独特な音と共に飛んでくる光線を避けると同時に半身を微妙にずらしてナイフを避ける。
クッと息が詰まる。
幾ら何でもこの数をいなすとなると話は変わってくる。
しかも、
「私を忘れないでよね!」
巫女の声が背後で響き、咄嗟に前屈みに避ける。
だが、当然そんなことをすればナイフの射線に入る事になる。
チィッと短い悲鳴をあげると力任せに刀を地面に振るった。
スパァンという独特な音共に大地が裂け、その反動を使い上空へと逃げる。
が、シュシュシュという異音と共に私の背中に無数のナイフが突き刺さった。
地面に叩き落とされるが、なんとか立ち上がる。
正直、たった1人の乱入でここまで追い詰めるられるなんて思ってもいなかった。
認識が甘かった…そう言われても仕方が無い。
背中に突き刺さるナイフを引き抜くと地面に投げ捨てた。
これを見るとほんとにこの体は便利なものだ。
ハァ、痛い
そう呟くと刀を構えた。
既に肉体のダメージも無視できなくなってきた。
ソレとは逆に相手には表情に余裕が生まれていた。
ヒュンと一瞬で十六夜咲夜の元へ駆けると
同時に刀を振るうが、シュンという音ともに霞んだかと思うと彼女は消え、代わりに大量のナイフが放たれた。
「瞬間移動ッ!」
ガガンッ、と連続した音と共にナイフをすべて弾く。
近づけない、そう呟くと地面を蹴った。
ドパッという音と共に接近戦が苦手な魔理沙に接近戦を挑む、一瞬で肉薄し魔理沙を睨みつける。
だが、
「あら、無視なんて悲しいわ」
その言葉と共に魔理沙との間に割り込む様にして霊夢が肉薄する。
「ちぃ、巫女ッ!」
キンッキンと私の振る刀を巫女は落ち着いて弾いてく。
その冷静さは先程とは違い完璧に落ち着いていた。
「たかが、一人増えた程度でッ!」
牽制として地面を抉り、砂利を飛ばすが巫女は身を屈めて避けた。
クッと毒づくと地面を蹴り、後ろへ後退するが、その時には既にナイフが迫っていた。
刀で必死に応じる、その時、視界の済でキラッと何かが光る。
とっさに屈むとビュンという轟音と共に閃光が過ぎる。
その時には私は後ろに迫る霊夢に吹き飛ばされた。
その時には追い打ちとばかりに無数のナイフと霊夢が迫っていた。
スパァンという轟音と共に地面に叩き落とされる。
ー負けるーそう心の中で呟いた。
必死に否定しようとするが現に相手が一人増えたことにより相手にも精神的余裕が生まれその差はもはや実力の差をも凌駕していた。
くぅう、と情けない声を出すと霊夢達を睨みつける。
その時聞きたくない声が響いた。




