95.仲良くなりたい
五和と家に帰ると、既にエリ、ヘレン、クーは家に帰って来ており、エリはぐだーっと、ヘレンは家事を、クーは本を読んでいた。
俺が家に着いた事に気付くと、ヘレンが出迎えてくれた。
「あ、おかえりなさい。えっと、まだ何も準備出来てませんが、このまま家ですか?」
「いや、学校に戻ってアカネの手伝いだな。五和を頼む」
「はい。わかりました」
「えっと、お兄ちゃんは女の子三人と同棲してるの?」
「あー、側から見たらそうなるのか。エリとヘレンは保護者代理、クーの場合はちょっと特殊な事情だ。やましい事は何もない」
「むぅ……。お兄ちゃんと二人暮らし出来ると思ったのに」
そんな事考えてたのか……。
「ま、諦めろ。そんじゃ行ってくるから。仲良くしろよ」
「それでは、どうぞ」
リビングの椅子に案内されました。いや、家の構造は知ってるんですけど。
「あの、むず痒いので普通に話しません?」
「口調は諦めた方がいいよー。ヘレンちゃんはメイドさんだから家では基本ピシッとしてるしー」
エリさん、だったっけ。に言われて気付きました。そういえば今目の前のヘレンさん、メイド服を着ています。
「まさか、お兄ちゃんはメイドさんに惹かれて!?」
「あ、いえ。それは違います。シンさんを好きになったのは私で、私が求婚して保留になってます」
「求婚!?」
まさかのワードが飛び出してきました。お兄ちゃんの説明にはありませんでした。
「え、ええ。そこまで驚きですか?」
「驚きますよ!求婚って言ったら結婚ですよ!結婚!」
「そ、そうですね。それが、何か?」
「いや、結婚ですよ!?そんな、まだ子供がしていいものじゃないですよ!」
「結婚は18からです!私まだ14です!するとしても後4年、返事も4年待ってもらう事になってます」
「あ、あー。なんだ、そうなんだ……。お兄ちゃんがロリコンになったのかと思って心配しちゃった……」
「ロリ?コン?」
ロリコンという言葉にヘレンは首をかしげるのみで、困惑していた。
「えっと、ロリコンって、知らない?」
「はい、知りません。えっと、シンさん達の世界の言葉ですか?」
「うん。正式名称がロリータコンプレックスって言って、幼女や少女、つまり幼い女の子に対して愛情とかを持つ人の事だよ」
「幼い女の子……。私、幼いですか!?」
「えっと、正確な基準があるわけじゃないから、どうとは言えないんだけど、その、14歳の人とっていうのは……」
いくらお兄ちゃんと2歳差だったとしても私達基準だと高校生が中学生を相手にしてる事になるわけです。
「そ、そんな……。私は駄目なんでしょうか……」
「あ、えっと、別にヘレンさんが悪いって訳じゃなくて……」
「ヘレン、そこまでにしておく事だの。困ってるぞ」
ここでさっきから本を読んでいたクーさんがヘレンさんに向けて声をかけました。
「わかりました。ここまでにしておきますね。多少は仲良くなれたと思いますし。私は家事があるので、失礼します」
「えっと……?」
さっきまでの感じとは打って変わり、いきなり真面目モードになったヘレンさんにどう対応したらいいのか分からないです。
「気にする事はないぞ。ヘレンはお主と仲良くなろうとしていただけだ」
「そうなんですか?」
「うむ。あぁ、自己紹介がまだだったの。私はクーだ。お主の兄にこの姿にされて、事情があってここで暮らしている」
「その、姿にされた?」
クーさんの姿は普通の小さな女の子です。その姿にお兄ちゃんがさせた……?
「お兄ちゃん、やっぱりロリコンになってるーー!!?」
私のお兄ちゃんがロリコンになってしまいました。シスコンにする計画が……。い、いえ、ロリコンでシスコンなら妹に目が向くはず!諦めるのは早いです!