92.招集
「はぁ………」
「うわっ!?いきなり転移して来ないでください!」
「えっ?」
見てみれば目の前にエリがいた。あぁ、座標固定するの忘れてた。あぶねぇあぶねぇ。
「悪いな。ちょっと出掛け先で面倒な事があってさ。怒ってたんだ」
「む……。シンさんを怒らせるって相当じゃないですか?」
「エリはよく怒らせてるけどな。まあ、今回はマジで頭にきてたんだ。エリの時よりずっとな」
俺たちという存在を使い捨ての道具かのようなものとしか扱ってないんじゃないか、俺はそう感じたから怒った。
「ちょっと、アカネの所行って来るよ。エリも頑張れよ」
「はーい!」
アカネの場所を色々な人から聞き出し、今は教室にいる事が判明、すぐに向かうと五和も一緒にいた。
「あぁ、良かった。ちゃんと案内してくれてたんだな」
「そりゃ、こっちの用事でシンが案内出来なくなったんだからちゃんとやるわよ」
「あー、その用事の事なんだがなぁ。ちょっと、やらかした」
「はぁ?シンが?いったい何したのよ」
城であった事をそのまま話す。五和にはあまり分からないだろう話だったが。
「はぁ……。あそこでまともに相手していいのはヘンリくらいよ。面倒事さえ無ければ王様も。それ以外は大概だから気にしなくていいわ。にしても、私達の国を作るっていうのは面白そうね」
あ、やっぱりそこは食いつきますよね。ぶっちゃけ、ほとんど考えずに言った事だからやるとなるとかなり大変な事になるんだが。あ、あの時言った異世界人にだけ伝える手段は、ちゃんと確保してあるから。
「あ、五和ちゃんの案内はここで終わりよ。他の所もある程度紹介し終えたからね」
おお、ありがたい。しかし、学院長が編入を認めてくれるかどうか……。
「って、授業終わったな」
授業終了のチャイムが鳴った。授業が終わったならやる事は一つだな。
「アカネ、カズキを呼んでくれ。こっちはハナを呼ぶから」
「五和ちゃんの能力の事ね。いいわ。呼んでくる」
アカネはこういう時鋭くて助かる。
「五和はここでちょっと待っててくれな?」
「うん!」
よしよし。ハナにはクラスの監督を頼んであるから今ならまだ武道場だろう。そう思って武道場に行ってみると、クーとハナが何やら揉めていた。
「おいおい、どうしたんだよ」
「む、小僧か。ハナにどうにか魔法を創れないかと相談していたのだ」
「私は創造魔法がないと無理って言ってるのに聞かないんですよ。どうしたって無理なものは無理なの!」
「あー、うん。クー、創造魔法無しで魔法を創るのは出来なくは無いが、オススメ出来ない。かなり危険だからな」
「えっ!?出来るの!?」
俺の発言にハナがかなり驚いていた。まあ、出来なくはないって程度だ。
「一応、だけどな。まず、今俺たちが使ってる普通の魔法は何もないゼロの状態から創られたものの訳だし」
「小僧!それはどうやるのだ!頭の中を見ても情報が無いぞ!」
「流石に俺でも創る所までは知らねぇって。魔法使いでもな。魔法使いにあるのは魔法の知識だけなんだから」
「むぅ……。しょうがない。どうにかやってみるしか無いか……」
「はぁ………。やるなら後で"自己空間"使ってやるからちょっと待ってろ。ハナ、ちょっとついて来てくれ」
「はいはーい。何をするんですか?」
「あぁ、ちょっと五和に関してのな。カズキとアカネもいる」
「なるほど、集めたメンバーから何をするのかとかは大体分かりました。いいですよ」
了承も得たので、1人待たせるのも寂しいだろうと思い、"転移・改"ですぐに教室に移動する。