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88.生活用魔法道具

「ふむ、ま、こんなもんだわな」


 魔法道具を眺めていたが、お試し用と書いてある物があったので少し使用してみたが、そこまでの物じゃなかった。ちょろっと水が出るような物だったり、暖かい風が吹く物、火花が出る物など、どれもイマイチだ。


「おう、あんたがシン先生か」


 魔法道具の出来の悪さにうーんと唸っていると、後ろから大きな男の人が声をかけてきた。


「そうですが、貴方は?」


「俺はここの店主だ。マリの父親って訳だ。うちのマリがお世話になってます」


 最初の一言は店主として、後の言葉は父親として言ってきた感じだった。


「マリは覚えもよく、驕らずに自分をさらに高めようとしています。ああいう子は将来有望ですよ」


「そうですか……。それは良かったです。所で、魔法道具をお求めで?」


 マリの話はここまでのようで、接客に入ったな。


「あー、今は連れの服の買い物待ちです。それで、魔法道具のアイデアでもと思って見ていたんですよ」


「アイデア、と言うと作るのか?教師の貴方が?」


「俺は色々出来るんで。で、店主には悪いんですが、どうも、魔法道具の出来の良いのがないみたいで。参考になる物とか無いですか?」


「……今そこに置いてあるのは今出来るだけの最高の品だ」


 マジか!?魔法道具技術ってそこまで進んでなかったのか!?でも、あの闘技場の結界とかは魔法道具だったし……。どうなってんだ?


「王都で結界の魔法道具を見たんですが、結構凄い物でした。今並んでる物とは比べ物にならないくらいに。魔法道具ってそんなに開発に違いが出てるんですか?」


「あー、結界かぁ。そういう結界や攻撃系に使えるような魔法道具の開発はだいぶ進んでんだ。で、そこに置いてるのは生活で使えそうな魔法道具だ。どうにか生活でも使えるようにしようと頑張ってるんだが、元が攻守用だからな……。どうしても調整が難しく、そんな物しか作れないんだよ」


 なるほど……。結界は外敵から身を守れるし、攻撃系はその外敵をやっつけられる。安全を求めるとそうなるか。


「店主、ちょっと、人目がない所はないか?」


「あるにはあるが、何に使う気だ?」


「生活用に使える魔法道具だよな。俺が作ってやるよ」






「お兄ちゃーん!って、あれ?お兄ちゃんは?」


 お金はお兄ちゃんが払ってくれるというので、先に服は頂いたのに、お兄ちゃんがいません!


「あらあら。イツワさんを置いて何処かへ行くなんてないでしょうし……。夫の所かしらね。イツワさん、ついて来て」


「はい!」


 店員さんに連れられて奥に奥にと進んでいくと、どこかから大きな声が聞こえました!


「す、すげぇ!本当に出来てやがる!」


「俺ならまあ、出来ない事じゃないですからね」


 お兄ちゃんの声です。どうやら近くにいるみたいです!


「やっぱり、夫に捕まっていましたね……。失礼します、シン先生、イツワさんの服を選び終えましたよ」


「お、ありがとうございます。幾らくらいですか?」


「合計で金貨20枚くらいですね」


「あ、そんなでいいんですか、はい、どうぞ」


 お兄ちゃんがお金を払ってます。金貨20枚だそうです。そんな、ぽんって出せるような金額なんですかね。


「ティアナ!聞いてくれ!一大事だ!」


「さっきからうるさいですよ。お客様への迷惑にもなるんですから、少しは静かにしてください」


「す、すまん。だが、これは本当に凄い事なんだ!見てくれ!この石達を」


 夫の人が指差した机の上には沢山の石がありました。この石、なんでしょう?でも、お兄ちゃんがドヤ顔をしているので、お兄ちゃんが用意したものだと思います。お兄ちゃんは凄いです!


「これは、魔法道具ですか?」


 店員さんが一つ摘んで眺めています。そしたらいきなり水がドバドバ出てきました!なんでしょう、あの石。水が出る石なんて初めて見ました!


「出来れば使用前に一言言ってくれれば良かったんですけど……」


 お兄ちゃんがどこからかタオルを出して店員さんに渡しています。なんでしょう、訳が分かりません。


「ごめんなさい。まさか水が出てくるとは思っていなかったものですから。でも、この魔法道具は売れますね」


「お譲りしますし、たまに作って卸しますよ」


「本当か!?」


 夫の人の剣幕が凄いです。


「え、ええ。こちらもお世話になりましたから」


 お兄ちゃんがお世話になった事ってなんでしょうか?後で聞かなきゃ。


「あらあら、でもそれだとシン先生に利益が出ないでしょう?」


「俺の方は魔法道具が作れればいいんで、大丈夫ですよ。長居しても悪いですし、そろそろ行きますね。五和、行くぞー」


「うんっ、お兄ちゃん!」

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