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81.アカネと対決

 その後も全員がアカネと戦い、俺が精霊術の練習として癒していった。そして最後に訪れたのが俺とアカネの勝負だった。


「なぁ、本当にやるのか?俺今日はヘレンに付きっ切りで教えようと思ってたんだが」


「昨日、武闘大会でのあの結果、私が満足してると思ってるの?」


 あー、最後の押したやつがお気に召しませんでしたか。


「いや、お前とやるのはマジで面倒いんだって。俺も本気でやらなきゃ、命取られんじゃねってくらいで突っ込んで来るから」


「そりゃあ、私とほぼ対等に相手出来るのなんてシンくらいしかいないんだもの。たまには本気でやらないと鈍っちゃうわよ」


 やめてくれ。俺化物相手にしたくないんだよ。


「鎧の方は使わないであげるから、お願いよ」


「それつまり聖剣は使うって言ってるようなもんだろ。やだよ、あの剣。首スパスパ斬られるから」


「シンなら斬られても何とかなるでしょ」


「俺でも首斬られたら生きてられないからな!?一応手は無くはないが」


 けど禁止級魔法のため使うのは無しだ。本当にマジでギリギリな場面とかだったら使うのも検討するが、今はそんな場面じゃない。


「じゃあ剣も無しでいいから。それじゃあだめ?」


「はぁ……。聖剣、聖鎧無し。この条件に加えて"自己空間"の中でならいいぞ。流石に武道場でやったらぶっ壊れる」


「分かったわ。その条件でいい。けど、"自己空間"の設定はちゃんとしたものにしなさいよ」


「正々堂々と戦うんだ。卑怯な真似はしないぞ」


 "自己空間"を発動する。内部空間を武闘大会で使用したステージに寄せて造り、観客席に生徒達を移動させた。


「あの子達も入れたのね」


「まあ目標、みたいなもんにでもしてもらいたいしな」


「チートな勇者目標に設定するとかあの子達大丈夫なの……?」


 ま、大丈夫だろ。こっちの基準の勇者であるなんだっけあいつ、オウガ、だったか?あいつをもう倒してる訳だし。


「そっちのタイミングで始めていいぞ。俺も剣でやるからな」


「そ。なら、行かせてもらうわ!」


 アカネが虚空から赤色の刀を取り出すと、そのまま横薙ぎに振るってきた。その刀の軌道上から炎の球がこちらを狙って迫って来る。


「聖剣無しだからって魔剣、この場合は魔刀かよっ!」


 出てくる炎自体は魔法のため、核を斬る事で消し去る事が出来る。だが、この炎は刀から出ている。普通の魔法なら術者の魔力が尽きれば終わるが、こちらは無尽蔵に出てくるのだ。


「色々と武器は持ってるのよ。今は1本だから足止めだけど、2本になったらどうかしら?」


 アカネが虚空から緑色の剣を取り出し、刀と同じように剣を振るう。それだけで鋭い風の刃が剣の軌道上に発生し、こちらを狙ってくる。


「ちっ、そっちがほう勝負するならこっちだって考えがあるんだからな!」


 あっちがちゃんと剣で勝負してくるようにしてやる。


「"反射結界"」


 結界術師に変身して全方位に結界を張らせてもらった。


「ちょっ、ズルくない!?それ下も結界使ってるでしょ!?そんなの聖剣以外じゃ突破出来ないじゃない!」


「お前が魔剣と魔刀の魔法だけで勝負してっからだろうが!それが大技の時間稼ぎとかならまだよかったが、そんな様子はどこも無かった!だから一旦止めたんだ」


「いや、大技の準備ならしてるわよ?」


「は?」


 どこを見てもそんな痕跡無いのだが。


「いや、シンには分からないわよ。だって私にも見えたりしないもの」


「はあ?」


 じゃあ何をどうやって準備してるってんだよ。


「ほいっと、これで完成!上手くできてる筈だけど、どうかしらね」


 剣を縦に振るうとアカネはそういった。これで、完成?まさか……。


「あ、気付いた?剣の軌道で魔法作ってたのよ。魔剣の魔力を使えばそんなのちょちょいのちょいってね」


「んな馬鹿な……」


 そんな事するやつ聞いた事も見た事も無かったぞ。


「あ、上手くいったみたいね。それじゃあね、シン。ありがと」


 アカネの魔法が発動する。何かあると身構える俺だったが次の瞬間には俺は倒れていた。


「時間停止か魔法効果無効化かどっちかだろうな。時間停止はまあ無理だろうから魔法効果無効化だろうが、少し違うのは俺の変身まで解けてる事か」


「凄いわね。一瞬で見抜くなんて」


「まあ、あの状態からこの状況になった場合、この二つが怪しかったってだけだ。他にも一応候補はあったけどな」


「そ。まあこれ昨日急造したものだからまだまだ完璧じゃないのよね」


 昨日の今日で使えるのは普通に凄いと思うんだが。


「ま、お前の勝ちだよ」


「ありがと」


 はぁぁ……。負けちまったなぁ。

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