80.精霊術
昨日は風邪治ったかな?と思って書いて投稿したんですが、どうやら完全に治ったみたいです。なので、結局更新休まずになりそうです。
「ほんじゃあ、ヒカリとクー借りるぞ。この二人は昨日やった訳だし」
「そうね。あー、にしてもマリとやっておきたかったわねぇ」
「まあそれは楽しみに取っとけばいいんじゃないか。マリならどんなクラスでも自分の糧になる事を学んでくるだろうし」
「そうね。そう思うと今から楽しみね」
「今は目の前の事に集中してやれよ」
っと、他人に言うなりまず自分からだな。集中しよう。
「昨日でだいぶ疲れてるだろ。少しの間背中向けてくれ」
「わかりました」
「わかった」
どのくらい効果があるのかわからないし、服の上からでいいか。
「よっと。どうだ?」
「なんだか暖かくて気持ちがいいです〜」
「それに疲労も抜けていってるみたいだの」
うん、服の上からで丁度いいみたいだな。
「いったい何をしたのだ?」
自分の魔法知識と現在の効果を比較して魔法ではないと断定して聞いてきたな。流石、チート魔法使い。
「今のは精霊術だ。精霊に協力してもらう事で色々な現象を引き起こす事が出来る。今のは光の精霊に力を借りて、回復系統の術を使用したんだ」
「ほう、精霊術か。面白そうだな」
「……言っとくが、精霊術師にはしないぞ?一々"体変換"して変身して戻るなんて面倒な事してらんないからな」
「シン先生もクーも喧嘩はしちゃダメですよ〜」
「……だいぶ和んでるな」
「気持ちいいですから〜」
そろそろ止めるか。このまま続けたらヒカリがずっとぽわぽわした感じになる気がする。というより今のを求めて精霊術師になろうとするかもしれない。
「……疲れました」
「お、ヘレン。終わったのか?」
「はい。まあ、結果は惨敗だったのですが。それでも動きにはついて行けていたと思うので、修行の成果は出ていたんじゃないかと思います」
修行というとあれか。風魔法を使用しての移動速度上昇。ヘレンからこの方法を聞いた時はなるほどなと思った。加速力を付けるには最適な方法だと思う。
「それは良かった。それじゃあ後ろ向いてくれるか?二人にやったようにやるから」
「あ、はい。わかりました」
ここで同じように服の上から精霊術を使おうとしていた時にヘレンが契約した精霊であるセリーヌからヘレンに聞こえないように話しかけられた。
(どうせなら服の下、直に触れてはどうですか?)
いきなり何言ってんだと思う。そんな事したらどんな反応が返ってくるか分かったもんじゃない。
(精霊術は服の上よりも直接の方が効果が高いのです。そして、これは契約したから分かることですが、ヘレンは少し無理をしています。日々の生活で疲労が抜け切らずに少しずつ溜まっているようです。このままでは体調を崩しかねませんので、今回はどうか直に触れてお願いします)
ふむ。日々の生活か……。確かに殆ど毎日ヘレンの事を頼っているかもしれない。エリはほとんど何もしないというかエリがさせないし、クーは魔物だった為に家事のやり方を知らない。俺は少しやるが、大抵はヘレンが先に全てをこなしている。食材調達なども訓練、修行だとして魔物を狩ってきて、それを調理している。
あれ?今思うとヘレン働きすぎじゃね?家の事でそれだけ働いてるのに学院にも通って今みたいに色々と学んでる。休んでいる場面が考え付かない。
セリーヌの頼みだし、自分で今までを振り返ってみてもこれはヤバイと思うので今回は直に触らせてもらおう。
「ヘレン、すまん」
「え?ひゃっ!?」
背中の服を少しまくり、腰より少し上部分に手を当て、精霊術を行使する。
「あっ、あのっ、先生?いったい何を?」
いきなり肌に触れられた事に驚いたのか少し可愛らしい声を上げ、こちらに事情を聞いてきた。
「精霊術だ。疲労とかそういうのを消せるからやってるところだ」
「あ、いや、それは何となく分かっていたんですけど、その、何で、触れてきたのかなと……」
「直にやった方が効果が良いらしくてな。俺はヘレンが休んでる所を見た事が無かった気がするから出来るだけ効果は高めたいと思ったわけだ」
「あ、はい……。そうですか……。そうですよね……」
なぜそこで露骨に声と気持ちが萎んでいくのか、俺には分からないのだが。これで俺が変な事したらセクハラになっちまうだろ。いや、まあ今もだいぶ危ないわけだが。
(本当は触れるなら違う所が良かったみたいですね〜)
セリーヌがそんな事を今度はヘレンにも聞こえるように言ってきた。
「ちょっ、ちょっと!?セリーヌ!変な事言わないで下さい!」
「流石に俺もこれが限界なんだが……」
(男は度胸と言いますよ)
言うには言うが、それは今使うべきものじゃないだろう。全く……。