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77.契約

「で、購入した訳だけど、その剣、普段使いするのか?」


 気に入ったみたいだから買ってあげたが、普通に使うなら今使っている剣の方が慣れていていいと思う。


「そこなんですけど、二刀にしようかと思ってるんです」


「二刀流かぁ。なかなか厳しいぞ?両手どっちにも剣持ってなきゃいけないし、動きも全く違うから」


「はい。それはわかってます。でも、今以上に強くなろうと思ったらそうした方がいいのかなって、今日の武闘大会を見ていて思ったんです」


 ヘレンがこれ以上強くなろうとしてるのか……。まあ安全を考えたら強くなってくれるのは良いことだよな。自分の実力を間違えなければ無茶な事はしないわけだし。


「なら頑張って教えようかね。こればっかりはアカネも無理だろうし」


「二刀使いじゃないですからね。それで、この剣の精霊と対話してみたいんですが、中々出てきてくれませんね」


「んー、ちょっと借りていいか?」


「あ、はい、どうぞ」


 カズキの剣とあまり変わった部分は無さそうだし、単純に精霊が眠っているだけか?なら……。


(ひゃっ、な、なんなのですか!?)


 お、起きたか。魔力を壊れないように調節して暴力的に流し込んだおかけだな。


「どうやら精霊出てきたみたいだぞ。ほら、対話してやれ」


「あ、ありがとうございます」


 精霊は宿っている物に触れているか、カズキとの時のように念話などで話している時にしか見えないし、声も聞こえない。


 ただし、例外が一つある。精霊術師だ。精霊術師だけは精霊が普通に見えるし、声も聞こえる。というわけで俺は精霊術師に変身した。


(ふむふむ。成る程。つまり貴女が私の所有者というわけですか)


「はい、そうなります」


(隣の殿方は?)


「そ、その先生です」


(ふむ、好いているのですね)


「な、な、なななななな、なんで!?」


 おおう、ヘレンが顔真っ赤にして慌てている。


(これでも私はかなり上位な精霊ですからね。所有者の心を読むくらい造作もないのです)


 まだ契約もしてないのに、そんな事が出来るのか。そりゃ凄いな。ヘレンの力になりそうだ。


「ま、今はその辺にしておいて折角なんだから今契約しておけよ」


「あ……。は、はい。わかりました」


(契約ですね。契約には契約紋を刻む必要があります。私程の精霊なら好きな場所に刻ませてあげられますが、何処にしますか?)


 へぇ。上位の精霊じゃないと変な場所に契約紋が出る場合もあるのか。カズキは何処に契約紋刻んだのかね。今度聞いてみるか。


「あ、それなら、左手の甲でお願いします。私、あなたの事は左手で扱うつもりなので」


(あなた、ではなくセリーヌです。ヘレン、名前を呼んで下さい)


「はい、セリーヌ」


 ヘレンが名前を呼ぶと左手の甲が光を放った。幾何学模様が浮かび、風が吹き荒れる。数秒もすれば収まり、ヘレンの左手には契約紋が刻まれていた。


(これで契約は完了です。活躍を期待してますよ、ヘレン)


「期待に添えるように頑張ります、セリーヌ」


 無事契約は完了したみたいだな。これで、ヘレンも精霊術師として目覚めたな。


「うわ、何ですかこれ!小さな光の粒が沢山!」


(それは微精霊ですよ、ヘレン。私達精霊は微精霊が力を手にする事で生まれます。ヘレンは私と契約した事で精霊術師の特性を手にしたのですよ)


「そう、なんですね。でも私は剣士です。魔法も使いますし、その精霊術も使うでしょうけど、基本は剣です。これだけは譲れません」


(私は別に精霊術師に拘ってませんのでいいですよ。ヘレンの好きな様に。私は一度眠りに入ります。デート、楽しんでください)


「は、はい」


 ありゃりゃ。またカチカチに固まっちまったよ。セリーヌ最後のは言わないほうがよかったよ。


「お、お付き合いしていただいて、ありがとうございます。つ、次はシンさんの行きたい場所に、行きましょう」


「ん、そうだな。それじゃあ何処に行こうかね」


 自然な流れで手を握ってやる。こうすれば自然と治るだろ。


「て、手を、手を握って」


「ほらほら、緊張すんなって」


 治る前にさらに固まっちまったよ。まあ、時期に治るだろうな。さーて、何処行こうかねぇ。

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