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70.9回戦

いやはや70話目ですよ。吸血鬼より長くなりましたよ。

今回はいつもより量多いです。



「マリ選手は自己魔法と呼ばれる魔法の改変で勝利を手にしましたが、ハナ選手はオリジナルと思われる魔法を使用しています!魔法の勝負となりそうですが、あの魔法や他の魔法への対策の立て方でマリ選手が勝つかが決まりそうですね」


 マリがハナに勝つ事は出来ないだろうな。あの重力の魔法が設置型魔法だとした場合動かなければ罠にかかる事はないが、相手の魔法の的になる。


「小僧はマリがハナに勝てないと思っているか?」


 クーにそんな風に聞かれた。アカネに負けたことを相当落ち込んでいたが、もう気にしない事にしたらしい。自分より強かったからしょうがないって感じか。


「ああ。あれを相手にするのはまだ荷が重すぎる。だけど、その聞き方だと勝ち目があるのか?」


「あるにはあるぞ。条件次第だがな」


「ほう。面白そうじゃないか」


 マリにそんな秘策があったなんて知らなかったな。だけど、マリに倒してもらっちゃ困るんだよなぁ……。


「まあ、確率的にはマリが負ける可能性の方が高い。ハナの様子でも伺っていればいいさ」


 ま、そうだな。もしマリが勝ったら武闘大会後にでも話しに行けばいいか。どうせ学院にはいるんだろうし。俺狙いらしいからな。


「それでは、マリ選手対ハナ選手始め!」


 試合開始の合図が出るも二人とも動かない。しかし、魔法は展開されているようだ。二人とも罠を設置している。


「このままじゃ、ステージ上が罠だらけになるぞ」


 二人の罠設置速度はハナの方が若干早い。そのためハナの罠の方が多くなる。罠は自分で仕掛けた物なら自分が触れても起動しなく出来る。つまり今の罠張り合戦を続ければ。


「自身の罠の上にしか移動出来ない、というわけか」


「ああ。だけど、罠設置場所によっては移動出来ない場所も出てくる。移動範囲はかなり狭いだろう」


「マリに罠を見極める術が無ければ動く事も出来ないわけか。面白い試合だの」


「しかも罠は"隠蔽"されてる、か。この状況で勝てるのか?」


「容易ではないが、勝てなくはない。仕掛けは出来ているようだ。後は気付かれずに発動出来るかどうかというところだの」


 罠を設置している時に何か仕掛けたのか。でも、ハナは闇魔法の使い手で腕前はかなりのもの。見破られるんじゃないか?


「そろそろ、動きますか」


「そうですわね」


 二人が同時に動き出す。魔法を放ちながら。しかし罠が発動する様子はない。二人とも自分の罠をしっかりと把握出来ているようだ。


 と、マリが止まった。鞭を取り出して地面を叩いていく。叩かれた地面は紫色に光り輝き、押し潰されるように地面が凹んだ。重力の魔法が設置されていたのだろう。マリはさらにその魔法を解除し、罠を設置した。


「鞭で解除、ですか。そうやって私のテリトリーを奪っていくつもりですか?」


「そうですわね。そうすればいずれ立てる場所が無くなりますもの」


 あの鞭、魔法解除の効果がかかってるな。だから重力の魔法を消せたのか。勝つ為に武器も改造とはな。


「でも、それが本当の目的ではないんですよね?このステージの四隅の魔法が本当の目的」


「っ!?気付いてたんですの?」


「それはもう。罠の張り合いなのに四隅をいきなり取る必要なんてないですからね。何かあるのは分かってましたよ」


 不規則に罠を解除しどんどん自分の罠を設置していくマリに動揺が走る。気付かれないという思いでもあったのだろう。


「だから、破壊させてもらいます」


 パチンッとハナが指を鳴らすと、四隅にあった魔法が全て解除され、ステージが削れていた。


「なっ!?」


「今さっきの魔法の撃ち合い、私が狙ってたのはマリさんじゃなく、四隅の魔法です」


 観客や控え室から試合を見ている俺たちはそれに気付いてた。四隅の上空に魔法が浮いていたからだ。


「これでマリさんに秘策は無くなりましたね。私の勝ちです」




「ここまでだな。結局あの四隅の魔法は何だったんだ?」


 四隅の魔法が破壊された以上、マリに勝ち目は無いだろう。気になってクーに質問してみたが、クーは試合を真剣に見つめている。そして、こう言った。


「まだ、終わってないぞ小僧。マリの秘策がいつ四隅の魔法と言った?」




「いいえ、私の勝ちですわ!」


「えっ?っ、これはっ!」


 ステージ上全体が光り輝く。それは魔法が発動した証だ。しかし、ハナもマリもその場から動いておらず、罠が発動するような条件を満たしていたとは思えない。一体何故だ?


「これは、ステージ全てを使った魔法陣ですわ!四隅はダミー、と言ってもあちらでも勝てるのですけど。この魔法陣は私の罠で造らせてもらいましたの!」


 ハナの罠を解除して自分の罠を設置していたのはそのためか。ステージ上全てが魔法陣ならステージ上に立っている状況は触れているに当てはまる。魔法が発動する条件を満たしている。


「どうやら、ハナさんは闇魔法が得意らしいので、闇魔法の耐性を付与させていただきましたわ!」


 必死に魔法陣を壊そうと躍起になっているハナに向けて話すマリ。


「っ!なら!」


 ならばと違う魔法を使うハナだが魔法陣を壊す事は出来ない。単純に威力が足りないようだ。


「それでは、ご機嫌ようですわ!」


 光が爆ぜる。どうやら、光魔法らしいな。だが、元の魔法がどんなものかはわからない。魔法陣が大きすぎるからだ。魔法陣が大きいとそれだけ魔法の規模も大きくなる。魔法を使用したマリはともかくハナは危ないんじゃないか?


 光が収まると土煙が上がっていた。だいぶ派手な魔法だったようだな。


「けほっ、けほっ。……勝ちましたの?」


「まだだよ!」


「っ、はっ!」


 ハナが姿を現し魔法を放つが、マリは直ぐに反応し、鞭で魔法を消し去る。


「……無事だったんですのね」


「だいぶ被害が出てるけどね。防ぎきれなかったし、ステージ上での魔法だからステージがめちゃくちゃ、せっかく設置してた魔法もぜーんぶ壊れちゃった」


 一応、ステージ内であるというのがわかるような風に瓦礫がステージの枠取っている。観客席の方に被害はない。


「やり直すにしてもこのステージじゃ設置は出来ない。バラバラだしね。どうする?」


「お互い設置型以外だと決着が付かないと?」


「そ。だって私は闇魔法が得意だけどその中でも設置型が得意。普通に魔法を撃ってもその鞭で全部消されちゃう。マリちゃんだって魔法を放っても私を倒せない事分かるでしょ?今さっきので倒せてないんだから」


「確かに、そうですわね。ではどうするんですの?決着を付けませんと決勝に行けませんのよ?」


「それなんだけど、私とマリちゃんどっちも決勝に進出って事にして、仮面の女の人とシンさんの4人で戦うっていうのはどう?」


 これは……ありがたい提案じゃないか?それなら俺とアカネでハナを無力化する事が出来る。


「このまま決着が付かないなら私はそれでもいいと思いますけど、それは司会の人や観客の人が決める事ですわ」


「そういう事なんだけどー、どうですかー?」


 ハナが声を張り上げて観客や司会に問いかける。観客からはまた二人の戦いが見られるならと賛成の声が多い。


「えー、どうやら観客は賛成が多いみたいですね。いいでしょう!盛り上がるでしょうし、特別に変更致しましょう!決勝は仮面の女選手対シン選手対マリ選手対ハナ選手の4人で行っていただきます!」


 おっ、司会からもOKが出た。これは、ありがたいぞ。


「えー、それに伴い今のステージだとバラバラですし、小さいので別のステージを御用意します。マリ選手とハナ選手は試合をしていた事もあるので少々お時間をいただきます」


 次の決勝、ハナの思惑を潰しつつ絶対に優勝してやる!

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