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68.7回戦

「紹介はもう一通り済んだのでいらないでしょう!クー選手が魔法で仮面の女選手が剣!これは1回戦2回戦の両方で見られた構図ですね!魔法と剣どちらが勝つのか!見ものですね!」


 クーとアカネがステージに移動し、代わりにマリが来た。ハナを連れて。


「っ。マリにハナか。2人が一緒だなんて珍しいな」


 2人に交流なんて無いはずだ。それが二人で仲良く登場したのだ。ハナがマリを狙う可能性を考慮して注意しなければならない。


「先程の試合でシュンに勝った手際が良くて学ぼうと思ったんですの」


 ちっ。ここでそれが出るか。いい所ではあるが、今に限っては最悪だ。


「どうも、シンさん。安心してください。彼女には何もしませんから」


 俺の隣に座り小声でマリには聞こえないように言ってきた。どうやら、もう隠す事はしないらしいな。大方、大抵の事をカズキ(ノーティス)に聞かれたと分かっているのだろう。


「俺がそれを信じると思うのか?」


 敵の言葉を鵜呑みにする程馬鹿じゃない。


「するならもうしていますよ。それにシュンでしたっけ?彼にもしてないじゃないですか」


 確かにその通りだ。こいつはシュンに一度触れている。試合が終わった時に。何かするならその時にでも出来るし、仲良くなったマリにも触れる事は簡単なはずだ。


「標的は誰だ」


「そーですね。1ヶ月より前はアカネさんだったんですけど、1ヶ月前にシンさんに会ってからはシンさんですかね」


 あのぶつかった時に標的にされたって事か。クーは標的に入ってないようで安心だな。


「あ、安心してください。ここでやろうとか考えてませんから。やるなら試合の時にやります。ですのでちゃんと勝ってくださいね?」


「勿論勝つつもりだ。それでお前を止めてやる。絶対にな」


 警戒は常にしておく。口ではこう言ってるがどうでるかわからないのだから。



「それでは、クー選手対仮面の女選手始め!」


「はっ!」


 開始直後にクーが巨大な炎の塊を空中に出現させ、アカネに振り下ろした。これは火魔法王級の"プロミネンス"だな。


 アカネはこれに焦る事なく冷静に斬った。炎の塊を。真っ二つに。


「やはり化物だな」


「ちょっ、化物呼ばわりは酷くない!?」


「小僧もよく言っていたぞ。小娘、お前は人外だと。それ程変わらないだろう」


 クーはさらに"プロミネンス"を追加していく。あれは出てくるだけでかなりの熱さを放つから数を出すだけで温度が上がる。正直やめてほしい。アカネも少しずつ前に進むが度々"プロミネンス"が襲って来るので斬るのに足を止めていた。


 魔法は斬る事で打ち消す事も出来るがそれはしっかりと魔法の核を斬った場合に限る。クーは意図的に魔法の核の場所を変えて放っているため、アカネでも立ち止まらないと正確に斬るのが難しかった。


「あんたも十分化物でしょ!」


「私にとってそれは嫌味にはならんぞ。寧ろ褒め言葉だ」


 元魔物としては化物呼ばわりは嬉しいらしい。


「前座は終わりだ。ほれ小娘」


 あれは……人形か?何処となくアカネに似ているように見えるが……。


「くっ、ちょっと!顔は変えなさいよ!」


 人形の顔は仮面などを付けていなく素顔そのままなのでアカネの顔だ。……アカネが気にしなければバレないんじゃないか?仮面の女がアカネだって思ってる奴は観客にはいないようだし。


「別によかろう、そのくらい。それ行け」


 クーの命令に従いアカネ人形がアカネに突撃する。"プロミネンス"の相手もしないといけないアカネだが人形相手に負ける事はない。こちらも魔法であるため核を斬ろうとする。


「なっ!?」


 しかし、アカネの斬撃をアカネ人形は受け止めた。アカネ人形の手にはいつの間にか剣が握られていた。アカネが手にしていた物と同種の物が。


 自分の斬撃を受け止められた事に少し動揺しながらも動きは止めず、"プロミネンス"の処理とアカネ人形の相手をしていく。


「ちょっと!?何よこいつ!」


「そいつはな、小娘の情報を集めてインプットした人形だ。ほとんど小娘と同じ動きが出来る。私の集めたものの範囲だけであるがな」


 なんだそれ。ちょっとヤバすぎないか!?アカネがアカネと戦ってるようなもんだろそれ!?しかもだ。


「一体では足りないようだな。ほれ小娘、追加だ」


 さらに二体のアカネ人形が作られる。魔法で作り出している以上、その数は魔力がある限り無制限に増やせる。俺はあんな魔法見た事がない。似たような魔法ならあるから自己魔法かオリジナルか、どちらかだろう。


「あんた……!本当に勝ちに来てるわね!」


「もちろんだ。小娘に勝てるのは邪神だけと小僧に言った時もあったが今回は勝つ。絶対にだ」


 三体のアカネ人形相手は流石に手こずるらしい。アカネが少し追い詰められている。


「でも、私には勝てないわよ」


 その瞬間、アカネ人形三体が一斉に倒れ伏した。胴体を二つに斬られて。


「むっ!?どういう事だ!?」


 クーは慌ててアカネ人形を作り出すが作り出されたアカネ人形も直ぐに斬られ、活動を停止する。


「何故だ!?」


「それ、あんたが集めた情報で動いてるんでしょ?なら見せてない手を出せばいいのよ。それだけでこいつらは簡単に倒せるの。少し躊躇ってたけどね」


 アカネの強さは話に聞いている。しかし底が分からない。今まで一度も本気を出したところを見た事がないから。


「これで策は終わりかしら?なら、あんたを倒すわ!」


 そして決着がついた。


「勝者は仮面の女選手!クー選手の魔法を物ともせず勝利しました!素晴らしいですね!それでは、次は第8回戦シン選手対エリ選手です!」

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