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67.6回戦

「シュン選手は先程のお二人と同じようにテラミス魔法学院の生徒さんであり、こちらも勇者アカネ様のクラスでございます。凄いですね。流石勇者の教え子といいますか、出場枠に5名も生徒さんが入るというのは異例です。それ程までに素晴らしい授業内容という事なのでしょう!」


 クーは入ってる事を言ってないので、ヒカリ、エリ、マリ、レン、シュンの5人という事になっているらしい。まあクーの存在は色々問題があるからなぁ。


「ハナ選手の方は情報がありませんね。バトルロワイアルでも目立った動きはしていませんでした。そんな彼女がこの舞台でどのような戦いを見せてくれるのか、楽しみですね!」


 バトルロワイアルでは俺とアカネがちょっとやったし、ハナがいることすら知らなかった。だからまともな勝負が見られるのはこれが初めてだ。


「小僧、あれは、ハナなのか?」


 集中して見ようと思っていると、隣からそんな疑問が投げかけられた。いつの間に来たのかクーが隣に腰掛けていた。


「まだ、そうと決まった訳じゃない。でも、そうだと思うし、今は危険な奴だ」


 精霊を狂乱させ、一個人を操っていたのだ。危険じゃないはずがない。


「そうか………」


 これにはクーも顔を伏せた。前の主人であるハナが危険な奴だと言われたのだから当然だろう。


「……殺すのか?」


「それは分かんないな。クーのように"テイム"とかを使って何とか出来るのならしたいと思ってる。だが……」


 その可能性は低い。"テイム"は抵抗される。クーの時のように抵抗出来ないような状況に持ち込むのもキツイ。


「まあそこは相手次第よ。相手の目的が何なのか、どう行動するのか。私達の敵になるなら勇者として容赦は出来ないわ」


「そうか……。わかった……。ハナが相手ならシュンは負けるだろう。確実に勝ち上がってくる。なら私が決勝でハナと戦う」


「それはつまり俺やアカネを倒すって事だな?」


「ああ。小僧も小娘も倒す。そして私がハナとやるんだ。対話をしてその真意を問いただす」


「ま、勝てるというんならいいんじゃない?」


 まあな。勝てたら俺たちより強いって事だし、安心出来るだろう。


「ま、先の事はその時にだ。始まるぞ。戦い方は見といて損はない」



「それでは第6回戦シュン選手対ハナ選手始め!」


 シュンは剣を構えハナの出方を見ている。ハナはといえば立っている。一歩も動かずにじっとしている。


「行く」


 特に動かないハナにこちらから攻めていくとシュンは宣言し、ハナに接近する。接近時に直線的に動くのではなく、ある一定の間隔で左右に移動している。


「なーんだ、罠、気付いてたんだ」


「闇魔法」


 簡潔になぜ気付いていたのかをハナに答える。闇魔法の中に魔法を検知するものがある。それを使用してハナが罠を設置している事に気付き、罠を増やされないために接近、攻撃をしようとしたのだ。


「あ、君も闇魔法使えるんですね。お仲間ですね。でも、私の方が何十倍も得意なみたいです」


 シュンの足下が紫色に光り輝く。それはつまり罠が発動したという証拠だ。


「なんで」


「闇魔法には相手に悟られないようにする隠蔽の魔法があるんです。それを使ったんですよー」


 話していくうちにも魔法は発動し、シュンは片膝をつき、徐々に身体ごと地面に吸い寄せられていく。


 あれは………重力か?


「早く降参しないとそのままぐっちゃぐちゃになっちゃいますよ?」


 それもとても強力なもののようだ。あのままだと本当に身体が壊れるぞ。


「くっ……降参」


「それでいいんです」


「シュン選手降参によりハナ選手の勝利です!いったいどんな魔法が使われたのか私にはわかりませんでした!オリジナルでしょうか!?これは次の戦いも楽しみです!」


 あれは絶対に重力だ。魔法で重力を作り出している。あれは俺の"自己空間"のように既存にはない魔法だ。司会の言う通りオリジナルである。


「嘘……。この世界に重力なんて概念ないわ……」


 アカネが隣で驚愕している。重力の概念がない……?


「この世界の人は重力を知らないのか?」


「ええ。実態を持つものは落ちるくらいの事しか分かってないわ。魔法のせいでね」


 確かに魔法は浮いていたりする。重力の影響を受けない。だから重力というものを知らないのか。では、だとしたら、あのハナ、あいつは……。


「元、日本人、だってのか?」


「……重力の事を知っているなら、そうなんでしょうよ」


「日本人、勇者の能力は全部知ってるよな?ならハナの能力は?」


「無理よ。ハナなんて日本人がこの世界に来たなんて聞いてない。つまり日本での名前じゃない。こっちでその名前を付けたって事よ」


「それにだ。私がハナに会ったのは50年程前だ。小娘が知らないのは当然だ」


 クーがアカネに続けて言った。50年前ってそんな昔の事だったのかよ。


「そんな昔から日本人は召喚されてたのか?」


「いえ……。私の知る限りではそんな事例は無いはずよ。世界中のあらゆる本を読んだし、偉い人の話も聞いた。嘘かどうかもハッキリさせたわ。つまり貴方みたいに誰かが呼んだって事よ」


 いったい誰が何の目的でそんな事を……?ハナについてどんどん謎が深まっていくぞ……。


「それでは第7回戦に行きましょう!1回戦勝者のクー選手対2回戦勝者の仮面の女選手です!」

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