59.バトルロワイアル2戦目・3戦目
1番のバトルロワイアルが早々に終わり、2番はすぐに終わるかと思われたがそうはならなかった。理由としては二つ。
まずは生徒達から出ていたのがレンとコウタとシュンだった事。全員が剣士であるがある程度の魔法は使える。しかし、それでもエリ、ヒカリ、クーよりは殲滅力が低い。人数が多くどこから攻撃が来るかもわからないバトルロワイアル形式だと時間がかかるのは当然だった。
そしてもう一つの理由というのが、参加者に前回優勝者がいた事だ。アカネが言ったから間違いない。確かこの武闘大会は優勝すると特例として勇者として認められるんだとか。だから勇者が2番の所にはいたということだ。まあ、4番には俺とアカネがいるんだが。
「どうだ?あいつらは勝てそうに見えるか?」
「厳しいでしょうね。二人は残れるだろうけど三人全員は協力しない限り無理そう」
現在レン達は全員がバラバラに戦っている。力を合わせて勝ったエリ達とは違ったやり方だ。
「ま、プライドってのがあるんだろ。それにライバルでもある訳だしな」
「プライドなんて勝つためなら捨てた方がいいのにねぇ」
化物と戦ってきたアカネの言うことは説得力があるな……。
「まだあいつらは子供だからな。おっ、決着がついたぞ」
モニターに結果が映し出されている。結果はレンとシュン、前回優勝者のオウガという奴が残りコウタは負けてしまったようだ。
「ま、無難だな」
「そうね。あの三人の中じゃまだコウタは一番弱いからね」
レンには火魔法の特訓を、シュンとは本気を出しての決闘を何回かやっている。差がついてしまうのも仕方がないだろう。
「今度はコウタに贔屓してやるか」
「あら、私が帰って来たんだから私が授業をやるのよ?」
「あー、そっか。んじゃまあ頼むわ。最近は疲れるんだわ」
「ふーん」
そんな学院の事を話していると3番のバトルロワイアルが始まった。
「ま、ここは全員勝つだろ」
「そうねぇ。マリはいけてもスズとミミは微妙な所ね」
「そうか?ミミは他のみんなと差があるのはわかるがスズもか?」
「ええ。あの子微妙に出来てない技を使ってる。あれは致命的な隙になるわ」
「あー、俺が教えたやつかぁ。まだ教えて1ヶ月だ。しょうがないにしても出来てないやつを使ってるのか」
「使ってるというよりは使わざるをえない状況だったみたいだけどね」
「へぇ」
なかなか面白そうなやつもいるもんだな。このバトルロワイアルで誘導させるなんてずっと見て動きを正確に掴まないといけないのに。よくやるなぁ。
「終わったわね。やっぱりスズとミミは落ちたわね」
「スズは時間の問題だったけどな」
3番の勝者はマリとヘンリとノーティスという謎の剣士だった。
「ってなんで騎士団長が出てんだよ」
「やっと気づいたの?スズと相手してたのヘンリよ」
「そりゃ負けるわな。それに騎士団長ってんなら動きも誘えるわ」
まさか騎士団長が大会に出張ってくるとはな。にしてもノーティスって誰だ。黒くて禍々しい剣を二本持ってたが。
「ノーティスってやつわかるか?」
「知らないわね。聞いたこともない。けど、あの剣技凄かったわ」
とても素人技とは思えない程の卓越した剣技を持っていた。あの剣が少し怪しいから少し警戒しておくかね。