58.武闘大会開始
場所は闘技場。今は武闘大会の開会式が行われている。
あの窮地からヘレンを回収した後、時間がもうすぐだったので、闘技場に急行したのだ。
「……にしても、あれはないだろ。あれは……」
俺の右手の方面には仮面を付けた10人の摩訶不思議な集団がいる。どう見ても、俺とアカネのクラスの生徒達とアカネ本人です。ヘレンはあの中にはいないで、特等席で観戦中だが、顔がだいぶ引きつっている。あの仮面集団が生徒達だって気付いてしまったんだろうな……。
「ではこれより、武闘大会を始める!」
司会の長い開会式がようやく終わり、やっと武闘大会が始まるようだ。形式はどんなだろうか。トーナメントかバトルロワイアルかはたまた全く新しいものか。どれをやるにしてもある程度人数を減らさない事には出来ないだろうな。今ちょうど200人くらいが武闘大会に参加しているみたいだし。
「では、参加証を取り出してください。そこに1〜4の番号が書かれていると思います。その番号ごとに集まってください」
俺のは4番だな。うわ、アカネが来た。いきなり本命か……。この組みで何をやるにしろアカネが一番の強敵だな。
他は……ちょうど3:3:3に分かれているな。仮面しか付けていないから髪色や髪形、身体的特徴から誰が誰と一緒か分かる。エリ、ヒカリ、クーの魔法系と男子達剣士系、スズ、マリ、ミミという色んな戦い方が出来る系に見事に分かれている。
クーに関しては特例としてある程度の制約を一時的に解除してやった。じゃないと参加しても何も出来ずに敗退するだけだったからな。
「全員分かれましたね?では、まずはその組でバトルロワイアルをしていただきます!各組で勝ち残れるのは3名ずつ!その残った3名×4組の12人でトーナメント形式で争っていただき優勝者を決めたいと思います!」
なるほど。最初に強者以外を振るい落とすわけね。それならこの人数いても何とかなるか。
「それでは1番から始めたいと思います!1番以外の選手は控え室にお戻りください!控え室ではモニターで映像が確認出来ます。相手の特徴を覚えておくと勝ち残った時有利になるかもしれませんね」
モニターで映像ねぇ。1番のやつは見なくてもいいかな。だって3名が勝ち残れるんだろ?
「では1番のバトルロワイアルスタート!」
スタートの合図が司会者からなされた瞬間、ステージから爆音が響き、モニターを見ていたであろう参加者達が様々な反応を示していた。
「お、おおっと、いきなり派手な展開ですね……。この土煙が晴れた時どれくらいが残っているのか楽しみです」
まあ、3人だけしか残ってないだろうな。1番の組はそれほど強い奴はいなさそうだった。あの爆音はエリ、クー、ヒカリの三人が思いっきり魔法を撃ち込んだから起きたものだ。基本4種が使えるエリ、光魔法と水魔法にかなりの練度があるヒカリ、チートのクー。この3人が魔法を同時に使えば使った本人以外は無事では済まないだろうさ。
「土煙が晴れてきました。おおっと!?これはなんということだ!ステージにはもう3名しか残っておりません!他の方は全員ステージ外に吹っ飛ばされています!」
うおおおおおと観客の歓声が響き渡る。参加者達もすぐに決着がついてしまったので呆然と残った3人を見つめている。
「ま、当然よね」
「だな。というか普通に話しかけてくるのか。後いつ帰って来た」
「別に話しかけるくらいしても問題無いわよ。仮面付けてるのは顔を隠すためだし。帰って来たのは昨日よ。マリ達に話を聞いてこれは行かなきゃってね」
「そこはお前が止めるべき所なんだが。……気付いてるか?」
「ええ。ずっと見られてる」
アカネに確認の為に問いかけたがやはりか。最初はマリ達のものかと思っていたが、あの後もずっと視線を感じているのだ。
「お前達とは関係ないよな?」
「多分ね。割合だと8割シン2割私ってところ」
やっぱ俺狙いかぁ。どこかで尻尾見せてくれたらいいんだがなぁ………。