46.秘密の特訓
「先生!聞いてくれよ!このおっちゃん達が酷いんだ!」
「ガハハハッ。別に嘘を言ってる訳じゃないさ」
「ん?いったい何の話だ?」
レンの所に来てみれば何やらガタイのいいおっちゃん達と揉めていた。いや、多分おっちゃん達の方はそんな揉めてるなんて思ってないんだろうな。
「こいつがよ、魔法剣士になりてぇって言うから現実を教えてやったんだよ」
「おっちゃん達が魔法剣士は魔法が2種類以上使えないとなれないって後2年は無理だっていうんだ!」
あーなるほどなるほど。そういうことか。
「レン、まず言うがこのおっちゃん達が言ってる事は正しいぞ?魔法剣士ってのは最低でも2種類の魔法が使えないと職業変更は出来ない」
別に2年もかかりはしないが。そこは努力次第だからな。
「でもでも!アカネ先生は1種類だけでも魔法剣士になれるって言ってた!」
あー、あんにゃろ。ちゃんと教えとけっての。ったく。
「1種類でもなれるっちゃなれるさ。その場合、その1種類の魔法で王級クラスを使えるようにならないといけないけどな」
「な……」
「レンはまだ中級が少し出来てきたくらいだ。王級なんてまだまだ先になるだろうな。ま、基本魔法の4種類は全部覚えてもらう予定だからどちらにしろなれるぞ」
「そうだよな……。先生に教われば使えるようになるよな……。でも、俺は火魔法でなりたい!アカネ先生が教えてくれた火魔法で!」
レンって本当アカネが好きだな。どこがいいんだか。あんな人外。
「ったくしゃーないな。おっちゃん達レン連れてってもいいか?」
「おういいぞ!面白そうだからな!」
ガハハと笑って承諾してくれる。さて、レンには特別補講だな。
ギルドから出て人気がない場所に移動する。見られるのはまずいんでな。
「"自己空間"」
真っ暗な世界に移動する。元いた場所とは時間の流れが違う空間。ここでなら好きなだけ特訓が出来るだろう。
「レン、ここは外とは時間の流れが違う。こんなかに何時間、何日、何十年といても外では数秒から数十秒にしかならない。腹も減らないようになってるから好きなだけ特訓するといい」
「先生!ありがとう!」
「お前にこれを渡しておく。これは黒結石っていって通信連絡が出来る魔道具だ。ここから出たくなったらそれで俺に連絡しろ」
「わかった!」
さてさて、連絡が来るのは何秒後かね。
空間を閉じて、レンだけを残したまま一人元の場所へ戻る。レンを回収する時にも見られたくないので、その場で待機だ。二十秒くらいして黒結石に連絡が来た。レンからだ。
「よ。お前的には久しぶりになるんだろうが、どうだったよ?」
「はぁ、はぁ。上級までは、何とか。でも王級は無理だった……」
「ま、上出来だろ。王級がそんなポンポン出来たら教える事が無くなっちまうよ」
にしても、上級は出来るようになったのか。すげぇな。今の所魔法は一番なんじゃって思ったがクーがいたわ。あいつ俺の魔法使いがベースだから王級、禁止級まで使い放題だった。制約で禁止級は使えないようにしてあるけど。
「そんじゃ俺おっちゃん達の所に行ってくる!」
「ああ。あんま驚かせるなよ」
ま、さっきまで中級がやっとのやつが上級使ったらかなり驚くだろうけどな。