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45.飲もう

「ん?なんだ?」


 森から帰ってきてみれば門の前にかなりの数の人がいた。それも全員武装している。学院の教師も混じってるな。その中で飛び抜けて強いのが一人二人くらいか。


「あ!シンさん!やっと見つけましたよ!」


 声をかけられて誰だと思って見てみたら学院長だった。


「学院長じゃないですか。どうしたんですか、いったい。それにこの武装集団も」


「私が先日この森を調査したじゃないですか。その時に大きな魔力溜まりが出来ているのが発見出来てですね。それから部隊を召集などして今からやっと討伐に向かう所なんです」


 へ、へぇ〜。魔力溜まりかぁ。偶然だなぁ。今日の昼くらいに魔力溜まり潰した記憶があるぞぉ。


「それで、シンさんにも協力をしていただきたいんですよ!」


「あ、はい。そうですね。協力するのは吝かではないんですが……」


「?どうしました?後ろの生徒達なら別にここからでも帰れると思いますよ?」


「あ、そっちを心配してる訳じゃなくてですね……。その、聞きたい事があってですね。その魔力溜まりの所に黒い蛇っていませんでした?」


 黒い蛇の所でクーがピクッと反応した。俺の後ろにいるから誰からも見えてないけども。


「黒い蛇ですか?いましたよ!明らかに親玉!って感じで他の魔物を集めていましたから」


 あ、これ確定だわ。


「はぁ……。あの、大変申し上げにくいんですが、この部隊もう要らないです……」


「へ?」


「魔力溜まりですよね。それ、今日の昼に潰しちゃいました。今日丁度森で訓練しようって生徒達と入っていって不穏な気配がしてたんで生徒に害が及ばないようにぱぱっとやっちゃいまして」


「…………」


魔物大暴走スタンピードが起きそうだったんですよ。なので、片っ端から魔物を蹴散らしまして……」


 両者の間で沈黙が続く。俺は気まずさ故に。学院長の方はわからないが、プルプルと震えているため怒っているんじゃないかと思う。


「よく、よくやってくれました!」


 肩をガシッと掴まれながらそんなお褒めの言葉を頂いた。


「え?怒ってたんじゃないんですか?」


「怒ってた?とんでもない!そんな事あるわけないじゃないですか!魔物大暴走スタンピードが起きたらどれだけの被害が出るのかわかりません。それを事前に潰してくれた。感謝以外のなにものでもないですよ!」


「あ、は、はぁ……」


 俺が突然の事で困惑していると学院長は部隊全員に語りかけた。


「皆さん!今から皆さんが行こうとしていた魔力溜まりは魔物大暴走スタンピードが起きそうな程魔物がいたそうですが、この勇者であるシンさんが一人で解決してしまったようです!」


「………うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 数秒、沈黙が続きその後に歓声があがった。


「何なんでしょう、これは……」


 ヘレンが後ろで呆れていた。





 結局魔力溜まりは潰してしまったので部隊は解散なのだが、せっかく集まったのに俺の所為で何もせず帰るのはあれだろうと思い、全員でギルドで飲むことにした。金はあの魔物達を亜空間から取り出して売っぱらった。その時にも歓声が上がったが、もう気にしないでおく事にした。


「ミミは学費足りそうか?」


「足りたのです!バイトをするよりも簡単にすぐにお金が貯まったのです!」


 どうやら今日だけで目標額には達したようだ。よかったよかった。


「なら明日からはちゃんと学院に来いよ」


「はいなのです!」


 ミミとの会話を終えて盛り上がっているギルド内を見回すと、こういった事に慣れていないのか生徒達が様々な表情でこちらに視線を送ってきていた。この飲み会に生徒達もどうせならって事で同席しているが、どうも居心地が悪そうだな。


「どうした?大丈夫か?」


「うぅ……。……人が多すぎ」


 一番近いコウタの所へ行ってみれば人酔いしている。大丈夫かそんなんで。外に連れ出して"転移・改"で移動し俺の家に寝かせておく事にした。


「せんせぇー、できませぇんよぉ〜」


 次はスズだったんだが……こいつ、酔っ払ってやがる。いったい誰だ!?酒飲ませたのは!?


「せんせぇーみたいに、うごけないですしぃー」


 これは、棒術の事かな?確か3ヶ月でマスターするとか言ってたよな。


「あんまり気張りすぎるなよ。適度に休む事も重要なんだからな」


「ぐー……」


 励ましてやろうとしたら寝やがった……。はぁ。スズも家で寝かせておくか。



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