38.金のやり方と銀のやり方
PV10000超えました!ありがとうございます!って事で今日はこれと昼にもう1話投稿します
「前から4匹来てるな」
狼、猪を倒した後、森の奥へと進み魔物を狩ろうとしているが、なかなか見つからない。やはり何かあるのかもしれない。
「ヘレンとシュンの二人で相手してみてくれ」
「わかりました」
「了解」
前から出てきたのは狼の魔物だ。狼はこちらの姿を確認した瞬間、走ってきたがこちらに着く前にドサっと地面に倒れてしまった。倒れた狼を見れば頭がなく、血が流れ出ている。その一匹に続き他の三匹の狼の頭も無くなった。
「終わりました」
「実力が違うな……」
全て一発だ。狙いを頭部に集中して一撃で確実に仕留める。
「素材も傷付いてない」
一撃で、他の場所を攻撃しなかったため、素材には傷一つ付いていない。買い取りもこの方が値段が高くなるだろう。
「みんなも真似してやってみるか」
そこからひたすら魔物を探し続け、ヘレンとシュンがやってみせたように頭を狙う。しかし、これがなかなか難しい。ただの木偶の坊ならば成功するが、相手は生きている魔物だ。当然のように避けられる。
「私、剣も風魔法も使えない……」
そして、この中で剣を使わず、風魔法も使えないヒカリはする事がなかった。今の所見ているだけだ。
「ヒカリが使える魔法って水と光だったよな?」
「はい……」
水は攻撃的な側面もあるが、回復という側面の方が強い魔法だ。光も回復面が強い。この二つで出来る事となると……。
「光で目くらましして水で窒息させよう」
魔力制御がある程度出来るヒカリなら中級の魔法も使えるだろうが、こんな雑魚に使っても魔力の無駄だろうからな。簡単にいけそうで、魔力の消費が極力少ない方法のがいいだろう。
「俺が抑えててやるからその隙を狙え」
「はい…!」
探し出した狼の魔物の注意を引きつける。後方に控えたヒカリが光魔法の閃光という魔法で光を放つ。目を閉じていた俺は無事だが、開けていた狼はそうではない。突然の光で目を痛め、視覚を失う。狼は匂い、嗅覚でも獲物を探し捕える事が出来るが、今回はそうはいかなかった。突然の視覚の喪失に動きを止めてしまい、その隙をヒカリは逃さなかったのだ。制御などの授業でよく使っていた水球を狼の口と鼻の中へ突っ込み、そのまま解除せずに放置したのだ。するとどうなるか。水が口と鼻を塞いでいるため息が出来ず、酸素を取り込めない。ならばと水を飲み込もうとしても、水は魔法のため制御され口内に留まる。その結果……。
「頭も傷一つない綺麗な魔物の死体の出来上がりだ」
「で、できた……!」
「こんな風に他人のしていることが出来ないなら、自分で工夫して似たような事を出来るようになれ。お前なら出来るからな」
頭を撫でながらちゃんと自信が付くように言ってやる。
「はい…!」
頭を撫でていたらヘレンがジッと見ていたのですぐに止めたが。だって魔物を相手にしながら視線だけこっちに向けて何かを訴えてくるような感じで見てくるんだぞ。耐えられないって。