28.瞑想
きっかり5分後。維持出来ていたのはヘレンとエリ、ヒカリがどうにかってくらいだった。得意と言っていただけあってヒカリは頑張っていたからな。途中で何度も乱れたりしたけど。
「ヘレンは"スラッシュ"が出来るし、エリは4種の魔法を使えるから当然としてヒカリは良く頑張ったな」
「魔法で、負けたくなかったんです……」
へぇ。意外と負けず嫌いってわけか。まあもう既に4種の魔法を使えるエリがおかしいだけだし、ヒカリは光魔法使えるから十分凄いと思うけどな。
「これなら残りの基本魔法もすぐ覚えられるだろ。頑張れば、だけどな」
「頑張ります……!」
「それにしてもだ。他の奴はだらしないな。これが出来ないと俺が考えてた4種の基本魔法と技能系を覚えるなんて夢のまた夢じゃないか」
たった5分くらい維持出来ないと他のなんて全く出来ないんだが。せめて30分は維持してくれないと。
「そんな事言われても、今日初めてやったんですからしょうがないじゃありませんか!」
あれ、そうなん?
「アカネはそこら辺も何も教えなかったのか?」
「俺は"火球"を教えてもらった時少しやったぜ!」
「ってことはバラバラなのか。クラスなんだから進行具合は同じにしとけっての……」
レンが他のみんなより微妙に長く保ってたのはその為だったか。
「というわけで、これも毎日やる事にするか。まず魔力操作出来ないと始まらないからな」
魔法に技能と魔力を使う場面ってのは多いからな。
「"スラッシュ"と魔力操作を毎日練習、魔法も日替わりでやって後は要望次第か」
「今日の残りは何をするんですか?」
「うーん、そうだなぁ……」
ヘレンは疲れてなさそうだけど、他のみんなはある程度疲れが見えるんだよなぁ。魔力を沢山使った影響だと思うんだが、どうするか。
うーんうーんと悩んでいるとヘレンからアイデアが齎された。
「瞑想はどうでしょうか?」
瞑想か。瞑想は集中力アップと魔力回復速度が上がるんだっけか。ヘレンもみんなが疲れてるの気付いてたってわけか。
「そうだな、瞑想にするか」
瞑想はただ座って目を瞑るだけの誰にでもすぐに出来るものだ。これなら疲れている状態でも出来るだろう。あ、俺は生徒を見守るって役割あるから目は閉じないよ。
瞑想を始めてから十分。
レンがうとうとし始めた。
「レンー寝るなよー」
「っ!?一瞬だけ意識が……」
危なかったようだ。
またまた十分後。今度もレンだが追加でエリもだ。
「寝るなよー。レン、エリ」
「はっ!?あれ?ケーキは?」
エリのやつ寝てたな……。というかなんで魔法使いのエリが疲れててヘレンは疲れてないんだ?謎だ。
「ケーキなんてないぞ。いいから瞑想だ瞑想」
「え、あ、は、なんだ夢か……」
エリが悲しそうに瞑想に戻っていった。そんなにケーキが食いたかったのか?後で出してやらないこともないが……。ま、頑張り次第かな。
そこから更に十分。始めてから三十分が経った。
「よし、終わりにしよう。みんな十分回復したろ」
「しましたね」
「はいびっくりです……」
俺も瞑想は初めてだったので効果が高かったのに驚きだ。