23.魔法
「それじゃあ休み時間中に誰も変更を頼んで来なかったから三限は魔法についてやるぞ」
魔法なんて縁の無い日本から来た俺が教えるというのは何とも言い難い事だが。
とりあえずで魔法使いに変身する。中位職に魔術師、上位職に魔導師なんてものがあったりするが、基本魔力が増えるだけで、創造魔法を使ってもどちらにしろ魔力切れを起こす為、どれを選んでもほとんど一緒だったりする。
「まず基本からやるぞ。魔法には火魔法、水魔法、土魔法、風魔法の基本魔法が存在する。この4つは才能があったり、ある程度練習すれば誰でも使える事の出来る魔法だな。そして、闇魔法、光魔法、空間魔法、創造魔法を合わせた8種類が魔法と呼ばれるものだな」
「シンさ……先生がやってた結界っていうのは魔法じゃないの?」
エリよ。勉強の時間を抜け出したりするから分からないんだぞ。
「結界を使えるのは結界術師と呼ばれる人達の結界術だな。今度、授業でやるからな。さっき魔法は8種類と言ったが、基本魔法以外の4つは才能がないと絶対に使えないものだ。後で全員の才能は見せてもらうからな」
あ、ちなみに俺は全魔法使えますよ。変身の力です。
「魔法にはランクがある。下級、中級、上級、王級の4つだ。例えば、これだ。これは水魔法・下級に属する魔法だぞ」
指先から小さな水の球を出してみんなに説明する。
「あ、あの、今詠唱も魔法名も省略しませんでした………?」
うん、したね。だって水の球出すくらいならイメージするだけで出せるし。
「省略も頑張ればできるようになるだろうさ。レンは確か火球の詠唱を省略してただろ?」
「よくそんな事覚えてたな……。アカネ先生に教えて貰ったんだ」
「まあ一度戦った訳だしな。どんな手札があってどんな戦略があるかとかは覚えてた方が相手にする時楽なんだよ。相手がどんな魔物かっていうのを知ってた方が有利に進められるのと同じ感じだ」
いちいち忘れてたら遭遇した時に対処出来ないしな。
「省略についてはみんなにも頑張ってもらうぞ。詠唱か魔法名どっちかを省略出来るようにはなってもらうつもりだ」
一応勇者って事になってますし、生徒にはそれくらい出来てもらわないと俺の立場はどうでもいいけど、アカネが困るだろうからな。俺は立場なんて無くても適当な場所で家出して果物食ってれば生きてられるし。
「魔法の応用として、さっき言った8種類の魔法に含まれない自分で作った自己魔法ってものもある」
「それって創造魔法とどう違うんですの?」
「うーん、創造魔法は大抵何でも出来たりするんだ。イメージ次第だけど。自己魔法の方は8種類、まあ創造魔法は抜いて7種類の魔法の中にあるものを自分で弄って自分の使いやすいようにするってものだな」
「つまり……どういう事ですの?」
難しかったか。
「つまり自己魔法ってのは自分だけの特別な魔法って事だ」
「なるほど!わかりましたの!」
うん。まあこんな感じかなぁ。後は体験とかして体で覚えてもらうしかないかな。
あ、ちなみに俺は自己魔法はあまり使わないよ。創造魔法で何とかなってるからな。