20.初めての授業
お待たせしました。テストは火曜に終わりましたが、水曜は球技祭で………。
ちなみに金曜は校外HRと今週1週間地獄のような予定です。
「ちょっと待て!俺の聞き間違えかもしれないからもう一回だけ聞くぞ。座学はどうなんだ?」
「だからやってませんわ」
………。馬鹿なの?アカネは馬鹿なの?何で座学やってないの?何のための教室なの?てかそれって知識がないから教えられた事だけしか出来なくて、応用も何も出来ねぇじゃねぇか!
「……これから座学やるぞ。基本的な事は覚えておいた方がいいからな」
「……実戦はどうするんですか?」
えーっと、コウタだっけか。名前と顔を一致させなければ……。
「勿論、実戦もやるぞ。ただ、今の状態は実戦に時間を割り振り過ぎている。戦って強くなる事は悪い事じゃないが、ある程度の知識、知恵があれば、学んだ事以外で自分で考え、思いつき実行、良くなるように改良すれば自分だけの武器になる。ただただ教えてもらった事をやるだけじゃ一般的な兵士と何ら変わらないし、もし強大な敵が現れた時勝負を決めるのは自分が一番信頼出来る技だ。それは自分が研鑽した技、そっちの方が良いに決まってる。誰かに教えられた技だけ、そんなのは嫌だろ?」
「確かに……」
「そうかも……」
お、レンとヒカリだったか。反応してくれたな。
「それに、座学で学ぶのは何も戦闘ばかりじゃない。薬の事だったり鍛冶の事だったり、望むなら何だって教えてやるぞ」
「ふむ」
「いいですわね……」
今度はシュンとマリだな。スズは反応無しか。まあいいか。
「そんな訳だから座学やるぞ。初回だからみんなやる気のある戦闘系からやるか。みんなの得意な武器を教えてくれ」
「俺は剣だ!」
「鞭ですわ!」
「……剣です」
「長い棒でーす」
「杖……です」
「剣」
「特にありません!」
「剣です」
ふむ。男子は剣、女子はみんなバラバラなのか。男子は教えるのが楽そうだけど、女子はきつそうだな……。ちなみに特にないと言ったのがエリで、最後に言ったのがヘレンだ。
「よし。わかった。それじゃ、最初は剣から始めるか。得意な武器じゃない奴もちゃんと聞いておけよ。役立つ時があるかもだからな」
戦士か剣士だが……。剣士でいいか。盾とか鎧とか使ってないし。
白い煙と共に剣士の格好になる。剣士は楽でいい。
「おお!?今何したんですかー?」
おや、スズはこっちに食いついたか。
「俺も一応勇者って事なんでな。少し特別な力があるわけだ。今はそれを使っただけだ。気にするな」
これから何度も使う予定だからな。気にしてたらキリがない。
「まず、剣だがーー」
そこから基本的な剣の扱い方や戦術、相手が剣士等の時の対処の仕方等を教えた所で最初の鐘が鳴った。
「そんじゃ、一限はここまでだな。教えた事を自分で工夫して活かしてみろよー」
さて、一限と二限との少しの休み時間でアカネに連絡しないとな。なんで座学やらなかったのか聞いてみないといけないし。