2.衣食住を揃えよう 食
「黒ローブはエルグランドとやらに行くのか?」
変身にリストというものがあったので見ながら問いかける。
「は、はい。そうですけど」
「そうか。ならここでお別れだな」
「えっ?エルグランドに来ないんですか?」
変身リストを見る限りそのエルグランドとやらに行かなくても何とかなりそうなきがしてるからな。
それにこっちの世界がどんな感じかわからない以上行くと面倒事に巻き込まれそうな気がするからな。
「ああ、行かない。初対面なのにありがとな」
「……わかりました。何かあったらエルグランドに来てください。エリの名前を出せば色々便宜を図ってくれるはずですので」
「わかった。それじゃあな。俺は基本ここにいるつもりだから」
黒ローブがエルグランドがあると言っていた方向に向かって行った。
さて、それじゃあこの荒野を少し変えるとするか。好き勝手に変えるけどまあ大丈夫なはずだ。
変身!
白煙が包み込み、収まると俺の体は茶色になって小さくなった。
ノームというやつらしい。変身したら今の自分に何が出来るのかがわかった。このノームを選んで正解だったようだ。
ここは荒野なために水も無ければ木々もない為に、下地作りから始めなければならない。このノームというのは地の精霊らしく、地面を好きに改造する事が出来るみたいだった。
「えーっと、ここがこうで、こんな感じでいいのか?」
地面に手をかざしてどんな感じかを頭の中で念じる。たったそれだけで地面が自分で思っていたような柔らかい土に変化した。
「……精霊ってすげぇな」
柔らかい土がある程度の範囲に出来た為、次の変身に移る。
変身!
白煙が体を包み込み、自分の体を変えていく。今度は自分の体が水色になって、少し透けていた。
ウンディーネというやつらしい。水の精霊という事で、水を出す事が出来たりするらしい。なので、さっき柔らかい土を用意した時に一緒に作った大きめの穴に水を出していく。満杯になったら、また変身。
今度はドライアドという木の精霊だ。種などを作り出して、土に食べ物の種や木の苗などを植えて、成長を促進させる。
すると、あっという間に木が育ち、食べ物も食べられるくらいに成長した。
「すっげぇな……」
自分でやった事だが、荒野にオアシスのような場所が出来上がったのだ。驚かないのが無理である。
とりあえずの下地は出来た気がする。衣食住のうち、食は何とかなったはずだ。まだ果物系だけだが。後は衣と住を揃えよう。