14.武道場で
投稿予約を間違えて吸血鬼の方に投稿されていたのに今気付きました。すみません。
我ながら、よく勉強したと思う。
ついに、ついにやっと簡易表無しでこの世界の文字を使った文を読む事に成功した!
「これでやっと働くわけかぁ」
背伸びをしながら欠伸をする。文字を覚えたおかげで時計も普通に見ることが出来る。今は午前5時だ。
「……寝るか。さすがにこのまま行ったら俺が死ぬ」
勉強でかなりの力を使ったのだ。寝なければこの後、倒れるだろう。
「おはよー!文字は読めるようになった?」
「……」
バタンと勢いよくドアを開けて入ってきたのはアカネだ。まだ午前5時だというのに元気なやつだな。こっちは徹夜だっていうのに……。
「悪い。限界なんだ、寝させてくれ」
「え?何言ってるのよ。これから職員会議よ。教職員は全員集合よ。シンもね」
「まじかよ………」
俺はズルズルとアカネに引き摺られて職員会議へと赴くのであった。
「なあ、俺、必要だったか?」
職員会議が始まって1時間。そこでちょうど会議が終了した。今回の話し合いは編入生をどのクラスが受け持つか、また、入学試験に向けた準備等だった。俺は特に口を挟めるような事もなく、ただただ用意された椅子に座っているだけの居心地の悪い会議だった。
「教職員は全員集合なんだからしょうがないでしょ。それに私の補助の為に連れてきたんだからしっかり働いてもらわないと」
「はいはい。文字はまあ読めるようにはなったが、今日は勘弁だ。徹夜明けなもんで体力も気力も無いんだ。このままやったら授業中にぶっ倒れる自信がある」
「分かったわよ。明日には必ず仕事してもらうからね。ほら、早く寝て来なさい」
アカネと別れ、自室へ。ベッドに倒れ込むように眠りについた。
「んっんんー。よく寝たよく寝た」
時刻にして午後3時。会議が午前6時に終わったので、7時間は寝た事になる。
「明日の準備とか色々しとかないとな」
教材などの授業で必要となる物を整理し、ある程度頭にいれておくことにする。
「ん、結構時間経ったな。そういえば、最近勉強ばっかで動いてなかったし、運動でもするか。授業には武術とかもあるって言ってたしな」
自室から出て初日のリーさんの案内を思い出しながら武道場を目指していく。
「にしても、本当いろんな奴がいるな」
武道場に着くまでに色々な生徒とすれ違う。木剣を持った者や杖を持った者、煌びやかな服を着た者など色々だ。
武道場に着くと聞きなれた声が聞こえてきた。
「よいしょっと」
アカネが生徒達と素手で戦っていた。1対多で。しかも生徒の方は武器付きだ。
「あれ、シンじゃない。起きたの?」
アカネは生徒達の攻めを完璧に捌きながら俺に話しかけてきている。
「まあな。てかお前本当に日本人か?これ見てると信じられないわ……」
「ちゃんと日本人よ!だいぶ強くなっちゃったけど!」
だいぶってレベルじゃないと思うんだ。だって邪神封印したんだろ?神って名前が入ってるやつを封印とかよく出来るよな。
「それで?今は何やってるんだ?」
「授業よ。実戦形式の。私はかなり加減してるけど」
「それ、授業になってるのか……」
授業って業を授けるものじゃないの?
「これの後に何処が悪かったとかちゃんと一人一人に言ってるから授業になってるわよ」
アカネが言い終わると同時にビリリリリと音が鳴った。
「はい、終わり〜。今日も当てられなかったわね」
「先生に当てるなんて無理だよー!」
「本当だよ、全部先読みされちゃうんだから!」
「魔法も全部弾かれちゃうし!」
………。
「人間辞めてるだろ、お前」
「辞めてないわよ!」
「ところで、あんた誰だ?先生と話してるけど」
生徒の内の一人、茶色の短髪で目つきの悪い剣を持ったやつが話しかけてきた。
「俺はシンだ。一応明日から教師をやる事になってる。アカネの補助教師としてだけどな」
「ふーん。俺はレン」
興味無さげにしながら俺の見えない速度で俺の首筋に剣を向けてきた。
「今のに反応出来ないんじゃ、先生の補助教師なんて務まらないんじゃないの?」
ピクピクっと顔を引きつらせながら、俺の中でこいつに対する怒りが上がっていくのがわかる。
「ちょっと、指導が必要だな」
白煙が舞い上がり、俺は変身した。