147.クラスの出し物
分身体の操作が難し過ぎる……。視認されないようにした所為で人に当たらないように避けるのが難しいし、人混みを移動出来ない。アカネの名前が有名過ぎるからクラスに近づくにつれて人がどんどん多くなっていってる。かといって視認されるようにしたら俺が二人いる事になり、一般の方は必ず驚いて騒ぎ立てるだろう。
「つ、疲れた……」
続々とアピールをする生徒や一般方を永遠と審査していく作業は色々面白い場面もあったが、進んでいくうちに被りなども出てくるためなかなか審査も厳しくなり集中力が必要で、分身体の操作も神経を使うため、疲労がとてつもない事になっている。
「人混み過ぎ……」
分身体をやっとの事でクラスに近づけたらちょうど何かが始まるようだ。空中に魔法でタイトルが……『勇者シンの戦い』はぁ!?俺!?
どうやら武闘大会を再現した演目みたいだ。五和が俺役でヘレンがアカネ役か。中々良い動きで戦いを再現してるようだな。クラス全員で武闘大会に出てたから本人役として出る事も出来てるようだし。見ている生徒や一般の方々も満足しているようだし、出し物としては成功だな。
魔法で効果音とか演出を上手いこと入れてるのはクーだな。一番魔法に長けてるのはクーだからな。変身能力の魔法使いは一般の魔法使いとは技術が違いますよ。
他にも設置型魔法だったり臨場感溢れるように光魔法で工夫したりと誰が何をしてるのかがよく分かるいい演目だったな。
……これが俺を題材にしてなければ手放しに褒められたんだがなぁ。いや、まあ、俺がそれだけ生徒達に受け入れられてるっていうのは嬉しいんだけどな。ただなぁ、俺の影響が大き過ぎる気がするんだよ。
「ま、いいか」
「上手いこと見れた感じですか?」
俺が呟いた事でリーさんが結果を察してくれたようだ。
「はい。中々良い感じでした。先生っていいですね。頑張ってる生徒が沢山見れて」
「それが先生の仕事ですからね。沢山見てあげて下さい」
「文化祭期間中はしっかりと仕事しますよ」
「頼みますよ。あ、先生側でもサプライズで何かやる予定ですから、考えておいてくださいね?」
「え、マジですか?」
サプライズって……。何やればいいんだ?そういえば俺があっちの世界にいた時は先生が歌ってたりしてたな。俺が歌とかあり得ないけど。
「剣技か魔法か。他にもまだまだ選択肢はあるか……。生徒のためになるやつがいいだろうな。さて、何にしようか……」