146.同時に
案の定というかなんというか……。はっちゃけ過ぎた奴がいたよ。厳重注意で済ませたけども。
「あっ、いた!シン先生!」
「ん?お前は……司会の子?」
「そうです。早く来てください!」
「えっ!?ちょっ、待てって」
司会の子に引っ張られ、連れて来られたのは大きなステージ会場だった。観客と思われる多人数の生徒。俺が座らされた席には点数が付けられた棒が置いてあり、何らかの審査台に思える。俺の他にも学院長のリーさんとかが座っている。何らかの見世物をするのは明らかだが……。
「お待たせいたしました!シン先生の確保に手間取りましたが、無事確保完了という事で、さあ開会式では真面目にやりましたがはっちゃけていきましょう!ミスコン開始です!」
「ミスコンかよ!ってかそれ審査すんの!?」
「説明してませんでしたねー。って事でご説明を。
これから校内放送等を使ってじゃんじゃん生徒に来てもらいます。あ、希望する生徒だけなので安心して下さいね?そしてこのステージに立ってもらい、アピールをしてもらいます。審査員の方々にはそれをそれぞれ10点満点で採点、文化祭終了時に一番点数が高かった人にご褒美が!という訳です!」
俺とリーさんの他に3人先生が座ってるから合計50点満点か。アピールも先生によって何が高得点の基準になるのか分からないから難しいな。
「ちなみに一般参加の方は運営の方まで申し出て下さいねー!」
「にしても……これ、俺ずっと拘束されるのか?」
「適度に休憩が入るそうですからその休憩時に行動出来るでしょう」
なんだ、休憩あるのか。というかそれつまり休憩以外動けないって事じゃね?
「リーさん、俺アカネのクラス見に行きたいんですが……」
「私に言われても……。どうしようも出来ないですしねぇ……。シンさん自身でどうにか出来ませんか?」
変身能力で何か手は……忍者の分身があるけどなぁ。この分身に各頭脳がある訳じゃないんだよなぁ。つまり俺がこの場で審査しながら別の俺も動かさないといけない、並列思考をしろと言っているようなもんなんだよ。
「出来るには出来るんですが……難しいんですよね。同時操作が。まあ他に手もありませんし、自分で解決させます」
高速変身からの分身からの高速変身。一瞬で変身するから白煙も出ないし周りにはバレてないだろ。分身は人目につかない位置に登場させてもらった。一応視認されないようにしてるけどな。俺が二人いるとかなるし。
「頭の負担半端ないな……。こりゃ休憩時間はマジで休憩になりそうだ……」
アピールする人がいる以上それを蔑ろにする訳にはいかない。しっかり集中して採点に臨まないとな。