140.狙いを一つに
「"物質生成"」
空中に剣を出現させて翼を狙います。鳥の弱点はやはり翼。狙うならそこです。
しかし、敵もその事がよく分かっているようで、簡単に避けられてしまいます。
「全く……。狙いが甘いから外れるのだ。ハナ!」
「クーちゃんの為ですから特大いきますよー!」
ハナさんが凄く大きな、大きな黒い球を出現させて、空に打ち上げました。クーさんも緑色の球を4つ周りに出現させました。
「イツワ、今度は一本だけだ。それ以外は出さなくていい。当てる事を意識するのだでないとあれには当たらないからの」
「わかりました!」
そうして剣を一本だけ出した時、敵から風の刃が飛んできました。咄嗟に盾を出して防ごうとしましたが、敵から飛んでくる風の刃は全て上空の黒い球に引き寄せられて霧散していきます。
「今のは……引力?たーだの鍵のくせにほーんと色々邪魔してくれるねー?半殺しだぞ」
「はん!私は鍵なんかじゃなくクーちゃんの友達のハナですよ!あなたたちの目的はクーちゃんとの生活に邪魔なんですよ!
五和さん!引きつけてますから攻撃はお願いします」
「はい!」
クーさんは狙いが甘いと言っていたので、少し工夫します。まずは敵の移動領域の限定。限定化された領域内での敵の固定。寸分違わず狙う為のターゲット。
この3つですね。
「この場にいる人じゃそれは無理そうなので、秘策を切りましょう。"物質生成『お兄ちゃん専用・隔絶領域結界』"」
そうして出したのはお兄ちゃんの結界術の力を封じ込めた針。この針は空間に刺さって刺さった場所から一定領域を外と中とで隔絶します。中から干渉する事は出来ず、外から入るものだけを受け入れるそういう結界です。
それをばら撒きます。剣が当たらないから針も狙っても領域内に閉じ込める事は出来ないでしょう。なら、数を増やして領域を複数作り出せば行動は制限され、どれかに確実に入ります。
「なーにかなぁこれぇ?出れないんだけどぉ?」
「"物質生成『お兄ちゃん専用・領域存在固定』"」
中から外に干渉出来ないとしても、領域内はそれなりに広いです。剣で狙っても避けるくらいは出来るだろうし、避けられずとも剣を撃ち落とす事は出来るでしょう。それをさせないために領域内にいる存在を固定化します。存在を固定なので、動く事は出来ませんし、物、物質なら動かす事が出来ます。こちらも針で領域を刺す事で、中の存在を固定出来ます。
「今度はぁ動かないぞぉ?……てめぇ!何しやがった!?」
「"物質生成"」
出したのはペイント弾です。それを翼めがけて放ち、見事付着。ペイントが翼にべっとりと付いてそこがいい目印になりました。
「クーさん!ありがとうございますね!」
「あ、う、うむ。そんなに出来るなら最初からやればよかろうに。……出したこれは無駄になってしまったの」
クーさんの周りに出現していた緑色の球が全部消えてしまいました。何に使うつもりだったんでしょう?
「いきますよ!」
剣をペイントめがけて放ちます。剣は見事にペイントの場所に当たり、翼を負傷させることが出来ました。
「お兄ちゃんがやった方法は分からないので、後はアカネさん達に任せますね!」
「任されましたっと。無事脱出!」
「僕は、休ま、せて、もらい、ますね……」
檻から出てきたアカネさんとカズキさんに後は任せます。カズキさんがかなり疲れているようですけど。