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139.鳥

 みんなが相手をしている魔族の人は、まだ紫色の手を出しているみたいだった。一緒に来た人がやられたのに本気を出す様子は見られなかった。


「油断してる時が好機、だよね」


 目の前のアカネさんやカズキさんに集中してるのと、クーさんを警戒してるみたいで私とハナさんは相手にされてないみたい。


「ハナさん、少しお願いがあるんですけど」


 そこで、ハナさんに一つ頼み事をした。


 私の"物質生成"には不思議な事が二つある。一つは出してから何か新たに衝撃を加えない限りはずっと空中に留まり続けること、二つ目は私は出した物の重さを感じない事。

 今回は一つ目の方を使う。


「"物質生成"」


 出すのは全て剣。お兄ちゃんが使う時が来るかもしれないって言って何度も触れた剣。それを何本も何本も相手の頭上に生成していく。


 普通なら重力に従って落下していく剣達はしかし、"物質生成"によって生み出されたためにその場に留まり続けている。

 それに気付いているのは、私とハナさん、遠目だからこそわかるクーさんだけだろう。


 殺すつもりはない。お兄ちゃんも相手を殺してはいなかった。多分、殺すっていう手段を取るならお兄ちゃんはすぐにでも行動に移していたはずだから。


 だから、殺さない程度に痛めつける。油断している今だから、それが出来るはず。


「ハナさん、お願いします」


「ええ、それじゃあ特大のをやってあげようじゃないの!」


 空中に留まる剣のさらに上に幾つもの数の黒い球が出現する。もちろん、"重力球"だ。それが下方、剣よりさらに下の魔族が地面に縫い付けられるくらいの重力を放つ。


 その重力による衝撃により空中に留まっていた剣達が動き出す。途轍もない重力に従い、雨のように降り注ぐ。


 強力な重力の影響を受け、魔族もようやくそれに気付くが遅い。地面に張り付いた脚は動く事なく、展開していた紫色の手での防御も間に合わず、その身に剣の雨を受けた。


「ってーなぁ……。何してくれんだよあぁ!!」


 え、えぇ!?なんかいきなり口調が変わってるんだけど!?


「っと、まずいまずい。それでー、今のやったの誰かなぁ?今なら優しくポキッてしちゃうぞぉ」


 え、えっと、キャラ作り、みたいなもの、だよね?


「ん……さっきまで震えてたのに復活してるのがいるねぇ。なるほどー殺す!」


 や、やばっ。狙い付けられちゃった!?


「行かせると思ってるの?」


「僕達が相手ですよ」


「弱い癖にぃ歯向かうとー、死ぬんだぞぉ?まぁ、全員殺すけどぉ」


 そう言うと、魔族の体が音を立てて形を変え始めた。


「シンの方は獣だったけど、こっちは鳥、ね」


 腕は翼に変化して、身体は丸く、クチバシが生え、鳥の形を取り、かなり大きな猛禽類のような鳥になった。


「それじゃあ早速ー、死ね!」


 鳥になった魔族は空を飛んでアカネさんとカズキさんを無視してこちらに脚の爪を向けて来ました。


「クーさん、ハナさん下がって下さい!"物質生成"!」


 その攻撃を私は出した盾で受け止めます。お兄ちゃんが用意してくれた盾の硬さは折り紙付きで爪は貫通する事はなく、しっかりと受け止められています。


「"物質生成"!」


 すぐに剣を出して飛べないように翼を狙いますが、飛んで躱されてしまいます。


「五和ちゃんを狙ってんじゃないわよ!」


「僕達を無視してるんじゃないですよ!」


 アカネさんの剣から炎の魔法が、カズキさんの剣から風の魔法が放たれ、しかしその全ては躱されてしまった。


「ふふー。だめだよぉーあなた達はまーだ。ちょっとぉ我慢して欲しいな!」


 翼を大きくはためかせ、風が送られてくる。その風が檻のような形を取りアカネさんとカズキさんを囲い込んだ。


「こんなんで私達を止められるとでもっ」


 アカネさんが檻に向かって剣を振るいますが、檻に触れた瞬間に剣の方が綺麗に切れてしまいました。


「アカネさん、これダメです。超高速振動してます。普通の剣じゃまずこっちが切断されます」


「そういうのに聖剣は相性悪いのよねぇ。カズキは何か策ある?」


「そうですね……。アネラと協力して何とか出来るとしても少し時間がかかります」


「いいわ、それやって。五和ちゃん!少しだけ耐えて!」


「わかりました!」


「シンのためだ。やらせないぞ」


「クーちゃんがやるのに私がやらないわけにはいかないわ」


 クーさんとハナさんが一緒に頑張ってくれます。アカネさんとカズキさんが檻から出る前に負傷させられるように頑張ります!

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