133.襲撃結果
邪神教団の殲滅は結果を言えば上々だった。俺たちは元々勇者としてこの世界に召喚されたので、邪神教団がどれだけ強かろうと、一般的な人とは戦闘能力が違い、大した苦労はかからなかった。
俺は五和と各地を転々とし、アカネは邪神教団の街であるエウリアの対処、ハナとクーにはアジトの殲滅を、カズキにはまとまっていた邪神教団の相手をしてもらった。
俺とアカネの方は元日本人が出て来て紫色の手を使用してきたが、"アウロラ"で対処した。その際、生け捕りにしてエネドラと一緒に日本人に戻る魔法を使用してみた所、成功。しっかりと元に戻す事ができ、記憶も正常で、自分達がしていた事を振り返ってこちらに協力してくれるようになった。
「今の所、どれくらい倒したの?」
「7割、8割ってとこくらいだな。仮称、魔族の方もそれなりに解放できてる」
だが、エネドラの記憶の中にあった3人の魔族。そいつらはまだ見ていない。そいつらだけは別格だった。エネドラとユグシルなんかよりもずっと強い。
なぜわかるか?記憶の中で他の魔族がそいつらに殺されてたからだよ。味方なのに。それも一方的に。
そいつらを倒さない限りは邪神教団を倒しても終わらないだろう。だが、そいつらについては現在地すらわからない。他の魔族については邪神教団のトップ辺りの人物がある程度把握していたため対処出来た。
魔族が紫色の手を何度も使用していることから、人工的に精霊を生み出しているのはもう確定だ。セリーヌにも報告してある。
「さて、どうするか……」
邪神教団を潰し、魔族を元に戻した。順調に事が進んでいる。が、ここまでだ。ここから先は相手を待つしかない。
「ここまで、かしら?」
「だな。あとはあっちが仕掛けて来ない限り、こっちには出来る事がない」
「それでも結構やった方ですよね」
「色々潰しましたからね」
ここまでであの3人が来なかったから順調に事が進んでいた所もある。しかし、ここまで大規模に動いて邪魔をしているのだ。そして奴らの狙いであるハナもこちらにいるからには絶対に仕掛けて来るだろう。
「とりあえず準備だな。いつでも相手出来るように。現在の戦力だと俺とアカネ以外だと歯が立たない」
「私でも無理なのか?」
「クーにはハナの護衛をしてもらうから普通に戦闘させると困るからな」
クー以外だと本当に歯が立たない。カズキでも無理だし、ハナも無理。五和は絶対に無理だ。
「まあ、まだ奴らは来てない。いつ来るかわからないが、時間は有効活用しないとな。これから全員、単独で奴らに勝てるくらいになってもらおうか」
「お兄ちゃん、それって私も?」
「当然」
いつも守ってやれる訳ではないしな。強くなってもらわないと。まあ、五和には"物質生成"がある。どうにかなるだろう。