126.精霊との話②
(セリーヌ、殺すなって言うからには今のお前なら元に戻す手段が使えるんだよな?)
(使えます。ただ、剣を持って行ってもらわないと出来ません)
まあ、それはしょうがない。だが、その剣を持って行くのに問題がある。
(お前はヘレンと契約した精霊だ。今、魔族とも言える奴らがハナを狙ってる。その流れでヘレン達が狙われないとは限らない。お前はヘレンを守るべきじゃないのか?)
(それは……)
(精霊なら契約者は何よりも優先して守るものだ。ヘレンを連れて行けば、とか言われても連れてはいけないし、いかない。実力が違いすぎるし、何があるか分からないからな)
だからセリーヌを連れ出すなど出来ない。学院にも、街にも、家にも防御を張り巡らせたが、絶対はない。敵が何らかの手段で守りを越えてきた場合、俺たちがそれを知り駆けつけるまでは自力でどうにかしてもらわなければならないのだ。セリーヌを連れ出せばヘレンが死ぬ可能性だって上がる。上げなくていいものは上げたくない。
(アネラならそこんとこ、分かるだろ?)
(それは、まあ。世界かカズキかの2択を出されたって私はカズキを選ぶと思う)
よかったな、カズキ。そこまで信頼されるのはなかなか大変だったろう。
(精霊の契約っていうのはそういうものだ。それは精霊の神であろうと変わらないし、変えてはいけないもの、そうじゃないのか?)
(……)
(お前がどんな事を思ってヘレンと契約したのかは知らない。だが、契約した以上はどれだけの使命があろうと契約者を守るのが優先されるべきだ)
(そう、ですね……)
(それと、一つ聞くがその手段ってのはお前じゃなきゃ出来ない事か?他を頼る事は無理なのか?)
(きっと、無理ではないのかもしれません。ですが、私以外に誰が使えるかなんて知りません。なら、私がやらないといけない事です)
ふむ。無理ではない、ね。無理じゃないならいいんだ。
(一つ、言っとくぞ。俺なら基本、何でも出来る。教えてくれさえすれば出来るはずだ)
(何を根拠に……)
(普通の人間が精霊になったり邪神になったり出来ると思ってんのか?)
そんな人間が他にいるなら見てみたい。
(そう、ですね。シンさんは普通ではありませんでしたね)
(まあ、そのおかげで色々守れるものとかあるからな)
(わかりました。方法を教えます。彼を、邪神となってしまった彼を元に戻してあげてください)
(任せろ)
セリーヌから聞いた方法は精霊神としての力をフルに発揮することで出来る方法だった。変身能力で精霊神になる事も出来るが、やるとしたらきっと戦闘の最中にやる事になる。精霊神に変身する余裕などないだろうから少し過程をいじらせてもらった。
(それじゃ、俺は精霊状態から戻るからな。話し合いは終わりだ)
はぁ。面倒な事を引き受けたな。まあ、しょうがない。やるっきゃないさ。