123.安全確保
「まずは学院長、リーさんに報告だな」
「そうね」
エネドラを"自己空間"にぶち込んでおき、テラミスに移動して、学院まで一直線で向かう。
「学院長、失礼します」
全員で学院長室に入り、生存報告、他にも敵がいる事などを説明する。
「学院長、俺が一番気にしている点は俺たちの戦いに生徒達が、ヘレン達が巻き込まれることだ」
ハナとクーが私達も生徒だと言うが、ハナは狙われてるし、クーは自分から足を突っ込んで来ているのだから、何も言う資格はないぞ。
「生徒達に被害が出るかもしれない、そう考えているんですね?」
「ああ。今回、エネドラとユグシルはこちらに堂々と挑んで来たが、敵がどんな奴か分からない以上はどんな手がくるかもわからない。今回と違って俺たちと関係が深いこの学院の生徒達が人質にされる可能性だってある」
人質を取られたらかなりまずい。アカネの聖剣の斬撃で首ちょんぱ出来るなら問題無いが、そうでないなら俺が切り札を使う事になる。そうすれば、俺はその後何も出来なくなる。それはまずい。
「エネドラとユグシルに侵入を許した以上、学院が安全だと言い切れないですからね……。シンさんは何が望みですか?」
「学院の外一面に鏡を張らせて下さい」
この学院の生徒達を守るために出来る事はきっと、そのくらいだろう。こちらの都合で生徒達の生活を奪う訳にもいかないし、下手な魔法だと、あの紫色の手で破られる。だが、"鏡と鏡、全ては繋がる世界の鏡"の鏡ならユグシル相手にも効果を発揮した事からちゃんと守れるはずだ。
「それが、生徒達を守る事に繋がるんですよね?」
「ああ」
「なら、いいでしょう」
よし。これでまずは学院内にいれば安全だろう。問題は、学院の外だな。
「俺たちが長くいても危ないでしょうから、俺たちはもう行きます」
「わかりました。無事、戻って来て下さい」
「はい。失礼しました」
学院長室を出て、学院外に出て、鏡を張る。
「この街で一番偉いのは誰だ?」
「この街は学院長。だから街を囲むように鏡を張っても問題無いはずよ。出入りさえ出来れば。あいつらは通さないように、だけれど」
張ってもいいなら問題無い。テラミスを出て鏡で街を囲む。これで学院と街で2重の防御が出来ただろう。
「後は、あの家だ」
俺とエリ、ヘレン、クー、五和の家。大切な5人の家。あそこを守らないといけない。
家に向かうと、結界は健在で、特に目立った外傷もなく、家も無事だった。
「この結界も合わせての3重にしとくか……」
結界が1枚目になるように、2枚目に鏡を張り、3枚目を鏡と結界術の複合で張り付ける。
「大丈夫だな。これなら安全だ」
たとえ"アウロラ"が来ても安全だろう。っと、街と家までの道にも全部3重で張っておかないとな。