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114.アカネの事情

 思いきって関係性を聞いてみる事にした。


「なあ、なんでアカネはリーさんにそんな下手なんだ?」


「ああ、これ?色々理由があるのよ。邪神を封印した後、私も何かで稼いでいかないと生きていけないわけで。人間なわけだし」


 人間というところで、は?と疑問に思ってしまった所があるが、何故か感付かれたらしく殺気を飛ばされた。酷い。


「冒険者をやるってなったら、私は一応最強なわけで他の人の仕事が無くなっちゃうのよね。で、それ以外をやろうとしたらどれもこれも不採用。途方に暮れてたら学院長が声をかけてくれたってわけよ」


 成る程。スペックが高過ぎて逆に不採用だったんだろう。アカネが不採用になる理由なんてそれくらいしかないと思う。


「私が声をかけた時にはかなり窶れていましたよ。いったいこの人に何があったんだってくらいに。私もそれを無視するような事は出来なくてですね」


 学院長はなんだかんだ優しい所がある。毎回毎回編入生入れさせてくれるなどなど。


「なるほどなぁ。そんな理由があったんだな。まあ教師としての仕事もそこまで上手くいってる訳じゃないが」


「え?私上手くやれてないの?」


「そうなんですよねぇ」


 リーさんは頷いている。この前五和の編入するクラスをどうするかの話し合いをした時に教えるのが下手だと言っていたから理解していると思っていた。それにしても本人が自覚無しというのが一番問題だろう。


「いや、戦ってばっかだろ。もっとこう、技術的な事とか基礎的な事も教えないと分からない奴には分からないんだよ」


「えーっと?どういう事よ?」


「つまり模擬戦ばかりしてるんじゃありません、って事ですよ。戦いの中から分かることもあるにはありますが子供達はあまり難しい事は分かりません。一から教えないと分からないも多くなってしまう、という事です」


「今、アカネのクラスは俺が1ヶ月間基礎を教えといたから理解は出来ると思う。でもまだまだ足りない。もっと基礎を教え込んだ方がいいって事だ」


「基礎、基礎ね……。んー、私には無理よ。私、全部戦って学んだから。どれが基礎とかほとんど分からないもの」


 全部戦って学んだ、つまり誰かに何かを教わらなかったという事だ。呼ばれてからある程度何かを教えて貰うのが普通、じゃないのだろうか。


 俺の場合はエリが変身能力の事を教えてくれ、その変身能力によって情報は手に入ったから誰からも教わらずに出来るのだ。


「……アカネも一から学んだらどうだ?どこが基礎でどれが応用なのかとかな」


「それがいいかもしれませんね」


「分かりました。次に学院に来る時にはある程度分かるようにしておきます」


 アカネの事情はここら辺でいいだろう。話を戻そう。


「あ、学院長。ヘレンを見張っといて貰えませんか?」


「いいですが、何故です?」


「ヘレンは多分、自分も戦うと言うはずです。でも、ヘレンにそんな事はさせられないし、させたら絶対に殺されてしまう。それだけは、嫌ですから」


「分かりました。バレないように監視しておきます」


「それでは、俺たちはもう行きますね」


「ちゃっちゃと済ませてきます」


「はい。行ってらっしゃい。無事、誰も欠ける事なく帰って来てくださいね?」


「もちろんです」


 学院長の言葉に答えて、部屋を出る。またここで教えるために、面倒事は早く片付けないとな。

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