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103.問題点

 急いで書斎に戻り、アカネと王と合流する。


「アカネ、そっちに異常はなかったか?」


「こっちは大丈夫。ヘンリは見つかったのね」


「すまなかった。私がもう少ししっかりしていればこの様な事には」


「起こっちまった事はしょうがない。それより、確認がしたい。王とヘンリ以外で今回の件に関わってない重要職の人は無事かどうか」


「大丈夫、だろう。王である私は戦う力などないが、他の者らは違う。ヘンリが捕まったのならそちらに人員を割いたはずだ。もし他の者が襲撃されていても逃げれているはずだ」


 王の話だと多分、無事だろうとの事。だが、もしもの場合もある。土魔法で自律型ゴーレムを作り、捜索させる。姿は勘違いされないように俺の姿だ。


「捜索はゴーレムに任せよう。ここからは話し合いだ。今回の件、犯人は騎士団だけじゃないと俺は思っている」


 俺の言葉に王とヘンリは驚いた様子だが、アカネは驚かなかった。


「騎士団だけじゃここまでの事は出来っこないわ。背後には何かがいて、今回の目論見には何らかの意図がある。そうよね?」


「ああ。俺が騎士団の相手をした時、蝙蝠を通して誰かから見られてた。相手は分からないが、覗き見する以上何らかの関係がある可能性が高い」


「その蝙蝠はどうしたの?」


「すまん、殺した。捕らえておけばよかったんだが」


「やってしまった事はしょうがないわ。とりあえず、バックにその蝙蝠から見てた奴がいるとして、問題点を挙げていきましょ」


 問題点1が敵の正体が分からない事。正体が分からないという事はこちらから相手に干渉する術が無いというわけだ。常に後手に回る事になる。


 問題点2が相手の数だ。正体が分からなければ数も分からない。複数犯の場合、後手に回るだけでも不利な状況なのに、二手などに分かれられればかなりの痛手だ。


 問題点3が相手の狙いだ。今回の計画は騎士団が暴走しただけに見える。しかし、蝙蝠で見ていた以上、何かを確認していたはずだ。そして、騎士団は騎士団で閉じ込めるだけでヘンリと王は殺さなかった。王の方は簡単だったが、ヘンリの方は普通の者なら死ぬレベルの魔物やトラップが仕掛けられていた。いったい何が目的なのか。


 問題点4が相手の力だ。実力がどの程度なのかが分からない。魔物を操る術も持っている。その術が魔法かもしれない事。その場合、創造魔法を持っている。創造魔法持ちは厄介だ。どんな魔法を使ってくるか分からないからな。


 問題点5がこちらの戦力。生徒たちは巻き込めない。異世界人関係だからハナはもしかしたら招集するかもしれないがな。五和は駄目だ。参加させない。絶対に。そうすると、俺、アカネ、ハナ、カズキにも言えば協力してくれるだろうからカズキもか。いくら異世界人が強いといっても4人でどうにかなるのか。


 まだ問題点は色々あるが、こんな所だろうか。


「……だいぶあるわね」


「ああ。そうだ、ヘンリに確認しておきたい。騎士団の連中は元々あんな風に異世界人を下に見ていたか?」


「いや、そういった事はなかったはずだ。だが、この前の事もある。心の中ではそう思っていたのかも知れんな……」


 少なくともそういった感情を表に出したのはこの前が初めてというわけか。


「よし、そっちは後に考えるとして、問題点を踏まえてこと後どう行動する?」


「王様とヘンリに護衛は必要でしょうね。一度狙われてるから二度目もあるかもしれないし」


「ああ。だが人手が足りない。そこはどうする?」


「そうねぇ……。シンの自律型ゴーレムの強さはどのくらい?」


「あれか?そこまで強くないな。シュンに負けるくらいだ」


 まあクラス内(クーを除く)2位に負けるくらいじゃあなぁ。


「シュン、シュンかぁ。微妙な所ね」


「いくら強いといってもクラス内での話だしな。それに相手の力が未知数だからゴーレムじゃ不安だ」


「武闘大会でクーが使ってたあの人形は使えないの?シンか私の情報を入れとけば護衛にはなると思うんだけど」


「あれか。あれクーの自己魔法かオリジナルなんだよな。創造魔法で作るってのもできるけどかなり疲れるし腹が減る」


「なかなか難しいわね……」


「しょうがないから一旦"反射結界"とかを使っておいて、護衛は4人で考えるか」


「そうね」


 4人で、とは言ったが果たして協力してくれるかねぇ……。

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