階段の先の太陽
階段を延々と上がっていくとそこには太陽が威風堂々と待ち構えていた。僕は不思議に思い太陽に尋ねる。
「太陽さん、この階段は一体なんですか」
太陽はこちらの質問を無視して、燦々と輝いている。きっと眩しくてこちらが見えないんだろう。恐らく僕を気付いていないのだ。よし、そうなったら手を引っ張られて抜かれる位に大きく広げて、喉が潰れる位の大声を出すしかない。よし。
「太陽さん、太陽さん。聞こえますか。ほら、ココ、ココ。階段を上ってきた人間がここにいますよ」
太陽はまだ気づかない。どういう了見だろうか。声を破れそうなくらいに張った大声、聞こえないはずがない。いや、聞こえないという事はもしかして見えない、聞こえない病気なのかもしれない。これは慎重に慎重を重ねなければいけない事項だ。太陽さんの心を傷つけないように慎重に、慎重に。太陽に触れた。
そして僕はその瞬間に燃え尽きて死んでしまった。