表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

あの子を追うにも、機材があって此処を離れることは不可能だった。

ブースでの『タイム・リミット』も、もう来ていたし。

早々に片付けて、撤退しないと『次が入って来る』時間だ。


取り敢えず、荷物をまとめて、ブースの受付前に運び出していたら、目の前を、知らん顔して通り過ぎていった奴らがいた。


ひとりは『例のあの子』。

続いて……傍らには『長身の男』。


そいつって……楽器、演っているというより、スポーツ系かもな?

結構、体格のいい男だ。

『スティックケース』を肩にかけて、片手には『ジルジャンのシンバルケース』。

見るからに『ドラム演ってます』って感じ丸出しで。


一方は『洗いざらしの襟シャツにカーゴ』をわざと?着崩したようなそいつ。

で、もう一方は『パステル系のパーカーにボーダーTシャツ、切り返しのあるパンツ』をいかにも気を使って、こじゃれた……って感じのあの子。


……普通はさ、大体つるんでいる奴同士ってさ、お互い『浮かない』様に同レベルで合わせるもんなんだけれどな。

こいつらって……はっきり言って……『変』だ。

笑えるほどに『似合わねー』っつーか、何というか。

まあ、俺がどうこういえるレベルじゃないんだけれども。


 あの子は俺に気づきもせずに、嬉しそうに隣に話しかけていた。

でも……なぜか相手さんは別に『それ』に対して……すごくそっけなくて。

こいつって……案外『こういうことに気の利かない』ヤツなんだ。

そういう『面構え』してるしさ。

面白くねえって、そんな顔だな。


でも、そいつらをよーく観察していたら……気づいちまったんだ。

体格の差があるから、歩幅も歩くスピードも全く違うはずなんだろうけれど、

『そいつ』ってさり気なく『あの子』に合わせていた。

それも真横にびたっと付いているんではなくって、若干後ろに引き気味で。

腕組むわけでもなく、かといって離れるでもなく……。


『絶妙な距離感』


多分『あからさまに見せる優しさ』というのではないんだろう。

それでも、あの子のあの嬉しそうな様子を見れば分かる。

それはそれで上手くやっているんだろうってな。


『見えない絆』っていうやつかな。

(我ながら……キザっぽいぜ)

なんだか、ふたりから妙に目が離せなくてさ。

これって、何だろう?


ま、俺には関係のないことだ。

俺って大体、女にベタベタされるのって好きじゃないし、触られるのも……嫌なほうだ。

(かといって、男にそうされるのは、もう『論外』だけれどもさ。……ゾッとするぜ)


これが、俺とこいつらとの『接触』《コンタクト》の始まりになろうとは……この時、微塵も思わなかったんだけれど。


俺の中で……『何かが変わろう』としていたんだ。

多分な。

第三者から見た、『ふたり』を書いてみました。

本編から少し後の話……ということで。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ