第3話 黒い会長とクラスメート
今回、気づきました。
一応毎日ちょくちょく書いてますが、
更新ペースは週1辺りになりそうですm(_ _)m
「悠暉ー! あたし今日、生徒会で遅れるから待っててくれる?」
俺のクラス、2-5は、紅科の隣のクラス。
教室の入り口からひょっこり顔を出して、ニッコリ微笑む彼女。
もう、彼女は生徒会長になっていた。
そんな季節だ。
「分かった。何時くらいまでかかる?」
振り返り、温和な目で彼女を見つめる。
「うーん……。そうだなぁ……、一応5時半くらいには終わると思うけど……。あっ! あたし、悠暉に、その……、話したい事が、あっ、て………」
恥ずかしいのか、耳まで赤らめてモジモジと語尾を小さくする紅科に……、いや、俺にだろうか。いや完全に俺だな、うん。そう、俺にヒューヒューと冷やかしが飛ぶ。
「告白かーーー? ンーー?」
「ついに悠暉も春かー?」
「おいおい! 眩しいぜ!! 眩しすぎるぜ!!!」
「紅科チャーーン! 超カワイーーーー!!!」
年中脳内お花畑の奴らは、どこにでも居るものなのだろうか。
呆れてしまう。
だが、同時に助かっていたのもまた事実である。
前に、斎木が紅科に誓った事があったのを覚えているだろうか。
その時を境に俺へのパシリの扱いは殆ど過去の産物になっていた。
「じゃあ、俺ココで待ってるから。仕事、頑張って来いよー」
そう言った瞬間、口笛やら野次やらがピークに達した。
こんなに囃されても俺たちの間には何もないのに。
……そう、俺たちがこんな風に会話しているのは虚偽なのである。
では何故こんな会話をしているのか……。
それは、秘密裏に契約を交わしたからである、彼女と。
実は、俺は彼女のとんでもない姿を目の当たりにし、また彼女も俺の犯した罪を知ってしまった。
そのことは、彼女にとって傷になる出来事であり、
俺にとって傷になる出来事であり……。
だから、俺たちはこの事が他に漏れないようにと契約をしたのだ。
「悠暉?」
不意に、紅科がまた俺のことを呼んだ。
「ん? 何……」
ふわりと、彼女の色素の薄い髪の毛がなびいた。
そして俺の視界を遮る。
「ちゃんと、待っててね……?」
紅科は、紅潮した頬に片手を添え、恥ずかしそうに俯きながら囁いた。
「わ、かってる…よ」
思わず見とれてしまった。
彼女の美貌は、もう飽きるほど見ていた……、はずなのだが。
どうやら『飽きる』なんて、永遠に無いみたいだ。
そして、そのまま俺に顔を近づけてきて言った。
誰にも聞き取れない程、小さな声で……。
「何? あたしに惚れた? 顔真っ赤だけど」
そうして、誰も見ていないことを知ってか知らずかほくそ笑んだ。
「あ? んなワケねーだろーが」
まあ、小さい声ではあるが言い返した。
この女は、空気というものが読めないのだろうか。
「気ィ、つけろよ。その口の利き方。」
女らしからぬその口調!!!
いつもの優しい神御蔵さんはいずこへ!??
俺も彼女も同じ立場のはずなのに、何とも彼女の方が有利なような状況になる。
いつも。
「知ってるっつーの……」
結局折れた俺が、溜め息混じりに吐くと。
納得したように笑みをこぼして。
「じゃあ、ね。悠暉……」
熱っぽい目で俺のことを見つめてから紅科は教室を後にした。
いやぁ、感心します!
あんたすげーよ!
それで何年嘘突き通してんだよ!
もう神だよ!!!
俺は、紅科を見送ってから、また溜め息を吐いた。
しばらく経った。
俺は、特に何もすることが無かったため、ボーっとしてた。
ふと、周りを見渡すともう、誰も居なかった。
カーテンが風になびいて揺れる。
すると、好いにおいが鼻腔をつく。
振り返るとそこには……
「明日葉さん……」
言葉が自然に口からこぼれた。
「うん。祭でいーよ。みんなそう呼ぶ」
そう言ってニッコリ笑みを浮かべた。
彼女は、俺のクラスメートの明日葉 祭。
いつも憂いを含んだ瞳で、少し話しかけにくいイメージがあったんだが、向こうから話しかけてくれるとは……。
「どうしたの? 委員会?」
本当に意図が掴めなかった俺は、彼女に問うた。
少々不躾だったかもしれない。
まあでも確かに、俺と祭は同じ委員会で。
「ううん、違うよ。ただ、ちょっと万々原くんに、聞きたい事があって、ね」
気のせいか?
少し、顔が赤いような……。
「え……、何……い、い、委員会じゃねーの?」
一応。いやホントに一応。
祭ちゃんは美少女。
実際話したことはあまり無いが、
委員会が一緒……、というのと。
珍しい名前ー……、というのと。
………カワイーなー……、っていうので覚えてた。
いや!いやいやいや、別に不純とかではねーって!!!
ちょっと声上擦っただけだって!!
「その……、さっき、神御蔵さんと親しげなとこ見たから……。仲、いいのかなぁ…って」
んんー?
何コレ!? 俺、ヤキモチでもやかれてんの??
対して喋ったことねーけどコレ、脈アリってやつか!!?
……嫉妬ってヤツなのかコレは??
「や、その~……。なんていうか。仲がいいまではいかねーよ?」
ちょっと期待して言ってみた。
「そうなの? 名前で呼び合ってるから、その……、そういう仲なのかなぁ……って、思って……」
そう照れくさそうに言って、前髪をかき上げた。
仕草まで可愛すぎるよ、祭ちゃん!!
「何? 何でそんなこと聞いたの?」
って、赤い顔の祭ちゃんに笑い混じりに言ったら、
「万々原くん、のこと……、気になって……」
顔が引きつるのが分かる。
まさか俺………、紅科のこと好きとか思われてる?
思われてるのか??
「あ、のォ……。俺、別に紅科のこと好きってワケじゃねーよ…?」
あり得ない!!
断じてそれだけはあり得ない!!!
すると祭ちゃんは、薄く涙の膜をはらんだ目で息をついた。
「そう……な、の……? よかったぁー……」
「え? 何が?」
急に泣かれるかと思った……。
だが、この後本当に泣きそうになるのは俺の方。
「あたし、万々原くんのこと」
そこまで言って、急にカーーッという具合に顔を赤くする。
さすがにここまで来たら分かってしまう。
脈アリのレベルでは……、ねーよな…。
でも俺、そんな喋った記憶無いんだけど……。
「その……、万々原くんが……、あたし、」
やばい、やばい!!!
俺までつられて真っ赤だけど!!
と、ココで。
「はーるきーー!! 生徒会終わったぁー!」
と教室にスキップしながら入ってきた女が一名。
先ほど紹介した、空気の読めない女である。
「紅科」
「神御蔵さん……」
お願いだから、場の空気感じ取って!!
「あ、祭ちゃん。何かあったの?」
と、祭に向かってニッコリ微笑む。
どうやら『悩殺スマイル』は、同性に対しては発動しないらしい。
便利な機能だなおい。
「ううん、何もないよ。」
遠慮がちに微笑むと、なんと!
教室を出て行ってしまった……!!
廊下にパタパタと小気味よい足音が響いていた。
「おい、紅科! てめえ……!」
初・告白を邪魔されて涙ぐむ俺。
「何?」
対して紅科は、興味もなさそうに素っ気なく返す。
「ぜってー許さねえ!!!」
紅科の態度にも、自分の行動にも腹が立っていた。
「は? ちょっ……どこ行くの!!」
後ろから紅科の声がぶつかってくる。
「祭ちゃんトコ!!!」
振り向かずに、走りながら叫び返す。
そして、無我夢中になりながら彼女を追いかけていた。
中途半端ですいませんm(_ _)m
ただ、長くなりすぎてしまったもので……。